第41話
画面を覗き込みながら思わずクスリと笑うと、
「何がおかしいの?」
そんな声が真上から聞こえた。
顔を上げれば、すぐ間近にリキの黒い澄んだ瞳があった。
「リキ、そろそろ帰ろう。風邪引くよ」
「そうだね」
わたし達は、鼻と鼻がくっつくくらいの距離で微笑み合った。
───そして、どちらからとも無く唇を重ねた。
僅に触れただけのそのキスは、すごくすごく、温かくて優しいキスだった。
そんなわたし達の遥か上空、何も見えない夜空からは静かに小さな雪の粒が振り続いていた。
明日になればきっと、忙しいこの街のくすんだアスファルトの歩道を、真っ白に覆いつくすのだろう。
───ねえ、リキ。
わたし達の未来は、これから永遠に続くんだね。
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