第29話

栗色の髪を横に流した、モテそうな雰囲気の男の子。


「あ、はい……」


話し掛けられるなんて思ってもいなかったから、びっくりしてしまった。


「まじで?女一人って、珍しくない?」


そう口を挟んで来たのは、さっきトモヤに声が似てるって思った男の子だった。


黒髪をソフトモヒカンっぽくしていて、首からタオルを下げている。


少し背が低くて、かわいい感じがした。






何とも答えれずに笑って誤魔化していたけど、その男の子達はどんどん話し掛けて来る。


「おねーさんはさ、誰が一番好きなの?」


「え、リキ……かな」


「そうなの!?女って、レイのファンが多いのかと思ってた。男は大体、リキだけどな」


「リキは個性キツくて、女受け悪そうだもんな。ハヤタは見た目いいけど喋り過ぎるし。黙ってギターだけ弾いてりゃいいのに」


「ハヤタが喋んなかったら、誰が喋んだよ。リキもレイも話さねえし、ハヤタはあれでも気ぃ遣ってんだよ。おねーさんも、そう思わねえ?」


「……そうだね」







男の子達が楽しげに話す様子を見ていると、ふいにジュンとトモヤと過ごしていた日々のことを思い出した。


ジュンもトモヤもどうしてるんだろ?


最近会ってないな。


まあトモヤなら、間違いなく今日奥さんと一緒にこの場所にいただろうけど。

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