第23話

冷蔵庫にあったもので簡単に和風パスタを作ると、ダイニングテーブルに座り一人それを食べた。


あんまり静かで気持ち悪いからテレビをつけてみたけど、クリスマスの特番ばかりやっていて逆に虚しい気分になった。


今頃はみんな、家族や恋人と過ごしているのかな。


クリスマスイブを一人で過ごすのは慣れている筈なのに、リキに冷たい態度をとられたばかりか、今日は無償に寂しく感じた。


────ライブ、そろそろ始まる頃かな。








リキのことを考え始めたら喉がつっかえた様になって、パスタが食べられなくなった。


まだ三分の一くらい残っているけど、わたしはフォークをお皿に置いて小さく息をついた。







朝方の、怪訝なリキの顔がまた頭に蘇って来て泣きそうになる。


落ち着いて考えてみれば、リキが怒るのは当たり前のことだと思う。


わたしは、どうしてこんな大事なことを真っ先にリキに言わなかったんだろう。






───痛いくらいに知っているのに。


リキが、この世の誰よりも深く深くわたしを愛してくれていることは。


わたしがすぐにリキに妊娠の事実を伝えていたら、リキも違った風に受け止めてくれたかも知れないのに。


……この子の、存在を。

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