第18話

その瞬間に、コウは「しまった」って顔を見せた。


いつも何を喋るかを心の中で考えてから口にする様な性格の彼だけど、今のはうっかり口を滑らせた、ってかんじだった。


リキが「子供はいらない」って言っていたことを、わたしから聞いたって自ら言っちゃったから。





リキはじっとコウを睨んでいて、コウももうそれ以上何も言おうとはしなかった。


これ以上自分が何を言っても、この場の空気を悪くするだけだと思ったのかも知れない。


それともこれはわたしとリキの問題であって、あくまでも自分は第三者だから口を挟むべきじゃないって考えたのかも知れない。






「じゃあ、俺帰るから。ライブ、頑張れよ。アゲハも、無理するなよ」


こんな状況なのに何故かコウはうっすらと口元に笑みを浮かべてそんなことを言うと、マフラーを手にして颯爽とリビングを横切り、ドアの向こうに消えて行った。

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