第13話
びっくりして、「どうして?」ってすぐに聞いた。
するとリキはしばらく考え込む様な素振りをしてから、やがてわたしから目を反らし呟くように答えた。
「遺伝するらしいよ。アスペルガーって」
リキから思いもしなかった返事が返って来たから、途端にわたしは言葉を失った。
驚いたのは、アスペルガー症候群が遺伝する、という事実を知ったからじゃない。
正直、そんなことはどうでも良かった。
リキがそんなことを気にしていることに───そして自らその名称を口にしたことに驚いた。
リキはアスペルガー症候群を抱えているけど、そのことについてを彼と話したことは一度もない。
その特徴をひっくるめて、リキは自分自身を受け入れていたし、わたしはそんなリキを誰よりも愛していた。
世間がそれを『障害』と名付けよう名付けまいが、わたし達には最早どうでもいいことだったんだ。
それを今更、思い出した様にリキが口したから。
本当に驚いて、何も答えれなくなった。
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