第12話
「俺は大丈夫だと思うけどね。あいつはきっと、アゲハのことなら何でも受け入れる」
コウはわたしの手からコーヒー豆を奪い、代わりに続きをしてくれた。
彼がスイッチを押すと同時に、コーヒーメーカーから微かな機械音が響いた。
「でも、電話でも言ったけど……前に言われたから。『子供はいらない』って」
「でも出来てしまえば、気持ちなんて変わるものだと思うよ」
「だけどリキの場合は分からなくて……。不安で」
「そう」
────あれは、結婚して間もなくの頃だった。
何となくだった、それを口にしたのは。
だって毎日そういうことをしていれば、きっと自然と出来るものだもの。
「子供は何人欲しい?」って、じゃれ合いながら、ごくごく普通にそれを聞いてみたんだ。
するとリキは顔をしかめて、こう言った。
「子供はいらない、アゲハがいればそれでいい」って─────。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます