第11話

───……


リビングのドアがパタリと閉まり、リキがバスルームへと向かうのが分かった。


するとすぐにコウは立ち上がり、コーヒーメーカーにフィルターをセットしているわたしの背後に近付いて来た。


「ねえ」


コウが、後ろから手を伸ばして来るのが分かった。







彼がそっと触れたのは─────


わたしの、お腹。









「あいつに、まだ言えてないんだね」


「うん……怖くて」


「そっか、何ヶ月だっけ?」


「まだ、2ヶ月」


「体調はどうなの?」


「ちょっと食欲が無いくらい。でも、そんなにひどくないよ」


「そっか」









───そうなんだ。


わたしのお腹には、リキの赤ちゃんがいる。


だけどそれをリキに言わずにコウに先に相談してしまったのには、ある理由があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る