第7話

「リキ、駄目だよ」


はっと我に返り、彼の唇から必死で離れた。


「……どうして?」


やや間を置いてから、不機嫌になってしまったリキの声が聞こえた。








───そうなんだ。


わたしには、ソレが出来ない理由がある。


……そのことを、まだリキには言っていない。







妙な気まずい空気が、抱き合うわたし達の間を流れる。


リキは、すぐ目の前でじっとわたしを見つめてくる。


真っ黒な瞳で真っ直ぐに力強い眼差しを送られると、思わず怯んでしまう。


「それは……」


恐る恐る口を開いたけど、わたしは怖くてその理由を口に出来ない。








その時だった。


軽快なチャイム音が、まだ眠ったままの部屋の空気を目覚めさせるかの様に鳴り響いた。

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