第6話

すると眠っていた筈のリキが俄かに頭を動かして、わたしの唇にキスを落として来た。


冷たく柔らかなその感触はついばむ様にわたしの上唇に触れた後、すぐに離れて行った。






「おはよ」


優しい声が、頭上から聞こえる。


「寒くない?」


剥き出しの彼の腕を擦りながらそう言うと、


「アゲハがいるから寒くない」


そう言ってリキは、わたしの体をぎゅっとその胸に閉じ込めた。







そのままリキの手はわたしのTシャツを捲り、直に背中を撫でてくる。


そしてもう一度唇を重ね、徐々にそのキスを深いものに変えて行こうとしている。


雰囲気で、分かる。


リキが今から、ソレをしようとしていることが。






───リキは何故か、いつも夜よりも朝にその行為を求めてくる。


夜は単純に疲れて寝ちゃうってにもあるんだろうけど、朝した方が本人曰く「アゲハがどんな顔してるか見れるから」らしい。


正直そんな顔恥ずかしいから見ないで欲しいんだけど、結婚して3年も経つのにまだそんなことを言ってくれるのは、すごく幸せなことなんだと思う。

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