第4話

リキは夏であろうと冬であろうと、いつも上半身裸で寝る。


風邪を引かないかとはじめの内は心配だったけど、風邪なんて滅多に引かないから、そうやって寝ることによってもしかしたら逆に彼の体は頑丈になっていっているのかも知れない。


ボーカリストである彼は、それ以外のところで充分に風邪に気を付けてはいるんだけど。


例えば加湿器は常につけているし、少しでも体に異変があればすぐに薬を飲んだりしてる。






目の前にあるリキの上腕部に唇を寄せれば、そこに彫り込まれたタトゥーが目に入った。


丸が2つ繋がって並んだ様な形の『無限』のマーク。


10センチにも満たない大きさの小さなタトゥ-で一見分かり難いんだけど、まさかリキがタトゥーを入れるだなんて思ってもいなかったからそれを見つけた時は驚いた。


ツアーで行った香港で、急に入れたくなって入れたらしい。


彼の友達でギタリストの木村くんはちょこちょこ体にタトゥーを入れているから、もしかしたらその影響なんじゃないかなとは思った。






びっくりしたけど何だかうらやましくなって、「わたしも同じの入れたい」って言ったら絶対ダメ、って言われた。


理由は、「痛いから」らしい。

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