第82話
彼を見て、ドキリとした。
中田くんは黒の細身のズボンにカーキ色のTシャツを来ていて、頭には茶色っぽい薄手のニット帽を被っていた。
学校で見る時よりも何だか雰囲気がオシャレで、ひょろりとはしているけど背も高いし顔も元々男らしい整った顔だから、今風のお兄さんみたいに見えた。
彼の前まで行ったものの緊張の余り何も言えずにいると、中田くんはじっとわたしを見てから目線を外してボソリと言った。
「───始まりそうだけど。」
「あ、うんっ。」
慌てて、わたしは答えた。
「入ろう。」
中田くんはちらりとだけわたしを見てそう言うと、先にスタスタと開け放たれたライブハウスの入り口から中に入って行った。
胸をドキドキさせながら、わたしは中田くんの後に続いた。
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