第77話

校庭を進む中田くんの背中は、ぐんぐんと小さくなって行った。


しばらく、わたしは呆然とそれを見送っていた。


その内に、背後から生徒達のはしゃぐ声が聞こえて、はっと我に返った。






───わたし、信じられないことをしちゃった。


まさか、中田くんをライブに誘うなんて。


でも───。


中田くん、「行く」って言ったよね?


聞き間違いじゃないよね?


明日、来てくれるんだよね?






中田くんの、鼻筋の通った綺麗な顔を思い起こした。


彼の綺麗な濁りの無い瞳を、今日も見れた。


───今更のように、わたしは顔がどんどん火照るのを感じた。

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