第76話

「───じゃあ、10分前にそのライブハウスの前で。」


「わかった。」


中田くんは答えると、チケットを自分のズボンのポケットにねじ込んだ。






「あの──明日だよ。」


「うん。」


「そのバンド、先輩のバンドなんだけど知ってる?」


「うん、まあ。」







もういい?とでも言うように、中田くんは首を傾けた。


そしてくるりとわたしに背を向けると、「じゃあ。」と言って歩き始めた。

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