第70話
ついさっき会ったばかりのコウ先輩が、今日もわたし達の教室を見に来ていた。
それにしても、何でコウ先輩はこの教室に毎日来るんだろう。
昨日コウ先輩に呼び出されて以来、コウ先輩が来るのはわたしが目的だなんて噂が流れているけど───。
実際、そんなことあり得ないと思う。
だって、現にわたしはさっきコウ先輩に会ったばかりなのに、またわざわざわたしを見に来るなんてこと、不自然な気がする。
コウ先輩が気になるコを見ているのだとしたら、それはわたしではない。
そのコを見に来ていて、たまたま同じクラスにわたしを見つけたんだ。
それで駅前でわたしがギターを弾いていたのを思い出して、声を掛けて来たんだ。
───そう思う。
コウ先輩は、教室の窓越しに中を覗き込んでから、やがてぐるりと教室中を見渡した。
そしてわたしと目が合うと、柔らかく微笑んで軽く手を上げた。
キャーッと、女の子達の歓声が上がる。
「ちょっと、アゲハ。一体コウ先輩とどんな関係なのよ?」
そう小声で聞くユイの声はいつになく低くて怖かったけど、わたしはどう説明したらいいのか分からず苦笑いしか出来なかった。
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