第66話

「感想なんて、そんな。」


おこがましい、と思った。


だって先輩のバンドは、充分に売れてる。


メジャーデビューするだなんて噂も、聞いたことがある。


世間はもう彼らを評価しているのに、今更わたしなんかの感想なんているんだろうか。







「君の歌声、すごく好きだったんだ。」


すると、先輩は突然そう言った。


途端に、わたしは赤面してうつ向いてしまう。


やっぱり先輩は聴いてたんだ、わたしの下手くそなギターと歌声を。


「そんな───先輩のとは比べものにもなりません。」


動揺して、上手く話せない。






するとコウ先輩は、少しだけ真剣な声でこう言ったんだ。

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