第61話

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翌日のお昼休み、お弁当を持って来なかったわたしは、一人売店に来ていた。


母はどんなに忙しくてもお弁当を作ってくれるんだけど、今日はよほどしんどかったらしい。


ふと、昨日の夜流しに置かれていた、開いた酒瓶が頭に浮かんだ。


「ごめんね。」と言った母の体は、朝なのにまだほんのりお酒の臭いがしていた。






売店に来ている女の子達は一人残らず誰かと一緒に来ていて、一人で並んでいるわたしは明らかに浮いている。


一人でもわたしは全然平気なんだけど、ユリナやユイはそんなわたしをよく「変わってる」と言う。


一人で行動するのが、何で変なのかよくわからない。


ユイは絶対に一人で行動しないし、ユリナだってあっさりしているように見えて、意外とトイレにだって誰かを連れて行きたがる。


わたしには、その心理の方が理解出来ない。

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