第44話

子供の頃から家で父がギターを奏でるのを見ていたわたしは、当たり前のようにギターの弾き方を教わった。


中学生になると、父はわたしにギターを1本くれた。


古い、アコースティックギター。







うれしくて、夢中になって色々な歌を練習して、弾き語れるようになった。


そして、その頃から何となく自分で曲を作るようになった。


単純なコードに下手くそな歌詞だけど、中2の冬頃には5曲くらいは出来ていた。


だけど、家でその曲を弾くのは何だかすごく照れ臭くて。


家から遠く離れてて、知り合いもいそうにないあの駅前で弾くことにした。


キャップを深く被ってギターケースを担ぎ、「友達の家で弾く」と親に嘘をついて。






────それが、去年の今頃の話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る