第40話
呆然としたまま、自分の席に戻った。
すると、すかさず興奮気味のユイが顔を真っ赤にしながら聞いてきた。
「アゲハ、まさか付き合ってとか言われたの?やっぱり先輩が見てたの、アゲハだったんだ!」
「いやいや、違うって!そんなんじゃない!」
慌てて、首を左右に大きく振る。
胸がドキドキとうるさい。
先輩、わたしを知ってたんだ。
歌を、聴いたんだ。
───あの駅前で。
「じゃあ、何話してたのよ?」
いつになく真剣な顔で、ユリナが聞いてきた。
綺麗にメイクされた顔が、わたしの心を見透かすかのようにじっとこちらに向けられている。
「それは───。」
口を開いて、すぐにつぐんだ。
言えない。
このことは、誰にも言いたくない。
自分だけの、大事な秘密だから。
押し黙るわたしに、ユリナが不満そうに漏らした。
「何?わたし達には言えないわけ?」
「ごめんね……。」
下を向くことしか出来ない。
「え~!なになに?教えてくれないのぉ?」
ユイも、口を尖らせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます