第35話

「わたしは、いい名前だと思うな。」






無表情でユリナとユイの顔を見て答えたわたし。


すると、一瞬にして2人の緩んだ口元が元に戻り。


すうっと引き込まれるように、ユリナの大人びた綺麗な顔も、ユイの幼さの残る顔も、冷たい表情になった。






空気読めよ。


合わせろよ。






2人の冷ややかな目が、それを物語っている。


さっきまで笑っていた二人が急に押し黙ったことに、わたしは妙な恐怖を感じた。


だけど、それは一瞬のことで。


またすぐに、ユイはにっこりと笑って言った。







「やっぱアゲハ、変わってるわあ。」

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