見失った未来

第21話

「お疲れ様です!」





学校近くの駅から電車に乗り15分。


その駅前の少し古びたこのカフェが、わたしのバイト先だ。


店内は昭和を彷彿とさせる、どこかの家の応接間にあるような家具で統一されている。


駅前の大通り側の壁は一面窓ガラスになっていて、これまた古めかしいレースのカーテンが斜めに掛かっている。


この店の自慢はコーヒー。


古くからの常連客が多い。


なのでお客さんの年齢層は、やや高めだ。


後は最近地元の情報誌に載ったホットケーキの評判を聞き付けて、ちらほら若いお客さんが来るくらい。






「アゲハちゃん、お疲れ!」


いかにも、というような黒の蝶ネクタイに口ひげを蓄えた店長の村上さんが、カウンターから笑顔を見せてくれた。


40代半ばの、小柄なおじさんだ。


村上さんで、この店は2代目らしい。


夕方のこの時間、店内のお客さんは2組だった。


常連のおじさんと、中年の夫婦らしきカップル。

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