第17話

「でもアゲハ、本当に一番人気なんだよ。うれしくないの?」


少し話の趣旨がズレている気もするんだけど、ユイが相変わらずにやつきながらそんなことを聞いてきた。


恐らく適当なことを言って、わたしをからかっているんだろう。








もしそれが本当だったとしても、うれしいことなのかなあ。


──わからない。


正直今のわたしには、そんなことどうでもいい。







「この子、鈍いから。」


いつものように、サッパリと言い切るユリナ。


「うんうん、そんなかんじ。好きな人いても、自分で気付かなかったりして。」


笑いながら答えるユイ。


なんだか、勝手に話が進んでる。






いつの間にか、女の子達のざわつきが消えていた。


廊下に目をやると、コウ先輩が消えていた。






「わたし、アゲハには後1年彼氏が出来ない、に1000円賭ける!」


ユリナの声が聞こえる。


「あ、わたしもそれ賭ける!」


「んじゃ、誰がお金払うのよっ。」


「あはは、アゲハじゃない~?」






窓から入る暖かい風が、サラリとわたしの髪を揺らした。


勝手にわたしの賭けの話で盛り上がる二人の声を聞きながら、引き寄せられるように、わたしはまた後ろにそっと顔を向けた。

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