初めての魔法と困難な技法と
死にかけた後に体に入れる美味しいもの。私が思うに、これより素晴らしいものってないと思う。特に、本当に特に今はそう感じながら、お昼ご飯のカレーを口に入れる。
あの後、結局筋トレは持久走と同じくらいどころかもっと長い時間までやらされたせいで、脱落してペナルティを食らう人が続出していた。
私は辛うじてなんとかカレーを美味しく頂ける程のダメージしか貰ってないけど、目の前で机に突っ伏してる凛はペナルティでご飯どころじゃないらしい。
「柳田凛、あんたちゃんと食べなさい。この後の魔法訓練で死ぬわよ。」
私の倍くらいのスピードでカレーの一杯目を食べ終わって、おかわりを頬張るルイがそう言った。その小さな体のどこにそんなに入るんだろう。
そんなことを思っていると、突っ伏したまま動かなかった凜が、首に重りでも付けられたかのようなゆっくりさで顔を上げた。
「凛ちゃんは…インドア…なんだよ…。ていうか、なんで鏡はそんなピンピンしてるのさ…」
「私?うーん、私は家帰っても暇だから、毎日どこまで遠く行けるか走ってたからかな。」
「えぇ…?」
凛の顔がこの世のものを見るとは思えない顔になった。この顔を見るのは入隊式以来かも。
でも実際、私自身自分が変な子だとは割と自覚してる。凛はクラス違ったから知らないと思うけど、実は私は体育でもクラスぶっちぎりだったんだ。自分としては勝手にそうなってただけなんだけど、それが崇められる原因にもなっちゃってたんだよなぁ。
まあ、私の昔の習慣がここで役に立つとは思ってなかったけど、案外使えたしとりあえずやっててよかった。あの時は、知らない所にいくワクワクくらいしか、面白いものが無かったってだけの理由でやってたんだけどね。
「佐倉鏡、あんた大したものよ。軍家でも割とへばってる奴いたのに、死にかけだけどよく耐えたわ。」
私と凛が話してる間に、いつの間にかカレーを食べ終わったらしいルイが褒めてくれる。自分はほとんどダメージ受けてないくせに、よく言うよほんとに。
「フィジカルは乗り切れたけど、この後は魔法訓練だし、改めて気合い入れないとかな。」
「そうね、あんたたち魔法初めてなんだし頑張りなさいよ。」
「…正直僕もう動きたくない。鏡おんぶして…。」
「ダメ、毎日やるんだから耐えて。」
元々のダメージにおぶってもらえないショックが加わって、凛の顔がもう死にかけてる。
全員がカレーを食べ終わったタイミングで、私達は初めての魔法訓練に向かう。
訓練初日のメインイベントの到来に、さっきまで燃え尽きてた凛にもちょっと生気が戻ったように見えた。足はガックガクだけど。
「でも気になるな~。魔法の訓練ってどんなことやるんだろうねー。」
「昨日も言ったけど、多分補助魔法を最初に教えられると思うわ。その後は属性魔法の適性診断ってとこね。」
『適性診断…?』
昨日聞いていない言葉に私と凛の疑問が被る。それに対してルイは、『そういえば言ってなかった』みたいな感じで目を少し丸くしてこっちを見てから、また前を向いて話し出した。
「言ってなかったけど、属性魔法は基本一人一属性しか使えないの。だからその適性を測るってことよ。」
「えぇー、僕てっきり基本属性は全部使えると思ってたよ。じゃあ明里ちゃんは四属性と光属性じゃなくて光属性しか使えないってこと?」
私も凛のその認識と一緒だったからちょっとびっくり。今日の朝二人で、四属性でそれぞれ二十個の技があるから覚えるの大変だーって話してたのに。あと白河明里をそう呼ぶのは軍部では結構まずいと思う。
「そういうことよ、あとその呼び方怒られるからやめなさい。」
「はーい。」
そんな会話を続けながら歩いていると、あっという間に魔法訓練場に着いた。入ってみると部屋は思っていたよりも大分大きくて、一周200mあった体育館が小さく見えるほどだった。そのため、既に多くの人が集まっていたが、人数がさっきより少なく感じる。
皆が整列しているところに加わると、入口からは見えていなかった目の前に並べてある銃が目に入った。
(え…?銃?なんでここに?)
魔法訓練、そう聞いてきたのに、目の前には100年前の対戦で使われたって学校で習うほどメジャーなただの兵器が置いてあって戸惑いを隠せない。それは私や凛どころかルイまで一緒で、目の前の状況に理解が追いついていない様子だった。
「ねえルイ、あれって銃だよね…」
「……これ、銃って言うの?。そもそもあたしはこれが何か知らないわ。あんたたち、なんでこれの名前が分かるのよ。」
顔に初めてハッキリとした困惑の表情を浮かべながら、ルイはそう言った。私達はどうして銃が魔法訓練にあるのか疑問だったけど、どうやらルイは銃の存在自体知らないらしい。普通に学校で習う程度の知識をこいつが知らないとは思えないんだけどな。
「え、僕達普通に学校で100年前までずっと戦争で使われてたって習ったよ?」
「これが?100年前まで?それはないわ、だって戦争で使われてるのは遥か昔から魔法だけだもの。」
聞くと、どうやら私達とルイの間には軍事の歴史に関してかなり齟齬があるらしい。私達は銃を使って戦争してきたって習ったけど、ルイは魔法の戦争だって教わったらしい。
でも多分、昨日の入隊式の戦闘を見る限りはルイの言ってる歴史が正しいはずだ。それなら、銃って一体なんなんだろう。
「んー、学校で戦争で使われてた物は銃って習ってたのは、多分魔法のことを教えないためなんじゃない?」
少しの沈黙のあと、ずっと考えていた凛がそう言った。確かに、魔法のことなんて軍部に入るまで一切何も知らなかったほど、魔法の情報は規制されてた。
だから、学校で嘘の歴史を正当化するために国が作った存在しない物だって考えるのが妥当だろう。やっぱりこいつは頭いいなぁ、すごい。
「あんた達の話を聞く限り、それが一番可能性としては高い、というか絶対そうよ。でも、だからこそこの目の前のものはなんなのよ。」
「んー、見た感じ習った銃と全く同じだけどな~。僕もそれはよくわかんないね。この考えがあってるなら銃なんてないはずなのに。」
結局その後しばらく話しても、その疑問は解決できないまま訓練の時間が訪れることになった。それと同時に訓練開始のラッパが鳴ると、後ろの扉が開いて魔法訓練を担当してる人たちが入ってくる。今までの訓練はなんか先生っぽい人たちが担当してたけど、今回はそうじゃないみたい。ただの先生って感じじゃなくて、戦場を経験してきた軍人って感じの雰囲気の人ばっかり。
特に真ん中の人は入隊式で見た二十人の中の二人だし、多分隊長格の人かな。
入ってきた人たち全員が置いてある銃の目の前に整列し終わると、真ん中の二人のうち黒のポニーテールの方が口を開いた。
「皆揃っとる?それじゃあとりあえず自己紹介しよかな。ウチは今日から自分らの魔法訓練教官になる、第二部隊隊長の神田渚(かんだなぎさや)。よろしゅうな~」
「ウチはすっごい西の田舎の出身やから、首都の皆とはちょっとだけ話し方がちゃうねん。せやから、なんか聞き取りにくかったら言うてな。」
(え、この人隊長なのにすっごいやさしそう)
今までの例が怖すぎたせいか、話し方から伝わる人柄の良さを私は少し意外に感じた。もしかしたらあの寮監二人が一般的な隊長なんじゃなくて、実は隊長の中でも結構怖いほうなのかな。
そんなことを思っていると、二人のうちもう一人の横の全身赤ずくめの子が、ちょっとぎくしゃくしながら前にでてきた。
「私は、第三部隊隊長の船莉風花(せんりふうか)です。今日から皆さんの魔法訓練副教官を務めますので、よろしくお願いしますね。」
こっちの人は礼儀正しくて、風紀を重んじてる感じがした。優しそうだけど、ちょっと堅苦しくて苦手かも。
「何や自分、いつもにまして堅いな~。もっと気楽に行かれへんの」
「それは渚ちゃんがいつも適当すぎるだけです。私は軍人としては正しい方だと思いますけど。」
そういって二人の隊長は少しにらみ合ってから、すぐに両方とも笑顔になった。その一瞬は、隊長同士のにらみ合いといっても、入隊式に白河明里から感じたような圧は一切感じないものだった。むしろ友達同士のじゃれあいという印象のほうが強い、見ていて安心出来る掛け合いって感じ。この二人仲いいんだろうな、場も明るめの雰囲気だし気楽に訓練受けれそう。
「いやーほんまはな、明里と紫暗のバカップルが寮監として担当するはずやったんやけど、あいつら別の任務ができてしもうたんや。せやから知らんお姉さん二人で堪忍してな。」
そう言うと、渚隊長は手を胸の前でパンとあわせて、いかにもごめんねという感じで謝った。正直言ってあの二人だったらほんとに怖そうだったし、むしろ良かったから謝ることないのに。
「渚ちゃん、そんなことはいいから銃の説明しますよ。これが一番大事だって竜吾さんが言ってたじゃないですか。」
「そんなことってなんやねん。結構大事なことやろ。」
スケジュールや流れを重視したいのか、風花隊長は進行を促した。言われた渚隊長は少し不服そうに返してから、後ろの銃を一丁取って、私たちに見せながら説明を始めた。
「これはなー、『マギア・ヴァレッツ』っちゅう上が開発した訓練道具兼兵器や。多分軍家のみんなは知らんと思うけど、一般の子たちは見たことあるんちゃう?」
その質問に、多くの子達の首が縦に揺れた。言いぶりからしてやっぱり、学校で習った銃と何か関係があるんだ。
「まあそりゃ当たり前やな。だってこれ学校で習う銃ってやつとデザイン全く一緒やもん。」
「実は上のやつらは趣味が悪いやつが多くてな~、自分たちが生み出した存在しない兵器のデザインを、そっくりそのまま使ってこれつくったんよ。」
「せやけど、性能とかは習ったのと多分全然ちゃうで。これは魔法関連の兵器やからな。」
(そんな簡単な事だったんだ…)
さっきまでずっと気になってた難題が、こんなに単純な答えでちょっとだけがっかりする。確かにせっかく作ったデザインを使いまわすのは合理的だとは思うけど、もうちょっと面白い裏があると思ってた。隣を見ると、ルイはちょっと不愉快そうにして、凛は苦笑いしてた。まあ二人とも結構考えてたもんなあ。
「それはええとして、本題はこっからやで。」
「こいつはな、自分の魔力をこめて攻撃をイメージしながら引き金を引くと、銃口から魔力の弾を撃つことができんねん。」
その言葉に、軍家の方から少しだけざわめきが起こる。確かに昨日の戦闘を見る限り、魔法を扱うために道具なんて要らなさそうだった。
だから、今まで自分たちで魔法を扱ってきた軍家の人達からしたら、道具から魔法が出るって言うのは違和感があるんだろう。
しばらく皆がそのままイメージ出来なそうにしていると、空気感を察したのか渚隊長が少し考えてから、なにか思いついたように顔を上げた。
「つっても皆ピンとこおへんか。ほなちょっと見ててな。」
そういうと渚隊長は、銃の持ち方を変えて引き金の着いている部分を指に入れてクルクル回しだした。どうやら、言っても分からなそうだから実演することにしたらしい。百聞は一見にしかずってやつかな。
「風花ー、防御魔法張っといてや。」
「え、はい。」
突然の渚隊長の要求に返事した途端、風花隊長の周りに丸い半透明のバリアみたいなものが展開される。攻撃するための魔法は入隊式で見たけど、防御魔法っていうのもあるんだ。知らないものにワクワクが止まらなくって、やっぱり軍部は楽しいと改めてそう思った。
そんな風に初めて見る防御魔法に私を含めた一般の子達が驚いていると、展開されたのを確認した渚隊長は、即座に風花隊長に狙いを定めて三回くらい引き金を引いた。すると、銃口から三本の半透明の光の線が風花隊長にすごいスピードで向かっていき、展開されたバリアにあたって三本とも消滅した。
突然の出来事に、私達一般の子も軍家の子達も呆気にとられる。しかし、一番びっくりしていたのは、まさか自分に撃つとは思ってもみなかったであろう風花隊長だった。場の唖然とした空気の中、そんなことを気にもしていないような渚隊長はこっちに向き直って説明を再開した。
「まあ実践するとこんな感じやね。加える魔力の量とかによって威力も変化するねんけど…」
「ちょっと渚ちゃん!!!いくら防御魔法ありきだからといって、私を撃つとかバカなんですか!?さすがに私怒りますよ!!」
さっきのじゃれ合いとは違って、割と本気で怒ってそうな風花隊長がつかつかと渚隊長に詰め寄る。
隊長が怒ってるのって結構怖いんだけど、渚隊長のほうが結構背が高いからか、ちょっとだけ風花隊長が可愛く見えちゃってる自分がいる。
「いや、まあ、それはほんまにすまんて。せやけど自分、こいつの出力じゃどんなに魔力込めても絶対に防御魔法突破できひんって知っとるやないか。」
「そういう問題じゃありません!!。こい…仲間に発砲するバカがどこにいるんだって話をしてるんです!!。」
「それはそやけど…他に撃つ場所ないし…」
この発言で怒りに拍車がかかったのか、その後の風花隊長は勢いをまして渚隊長を叱りつけていた。
お説教の内容は『いつも適当だからそうなる』とか『もっとちゃんと考えて』などが大半を占めていたが、所々『家事当番もしっかりやってくれない』とか『帰ったらご飯抜き』等の内容が混ざっていたのが正直かなり気になる。
しばらく経って満足したのか風花隊長が説教を締めくくると、登場シーンからは考えられないほどしょげている渚隊長がこっちに向き直った。
「えーっとー…。それじゃあ説明再開するで…。」
「さっきウチが風花に言った通り、こいつでは、というか現存の通常兵器じゃ防御魔法は突破出来へんねん…。」
「せやから、事実上実践では使えへん訓練用の道具ってことやな…。それじゃ今から、訓練内容の説明するで…。」
そこから渚隊長はずっとしょげた雰囲気のまま訓練内容を説明してくれた。内容は至ってシンプルで、一人につき一丁銃を渡して的を撃たせるという訓練だった。
もし的に弾を当てられない人が部屋に一人でもいた場合、その部屋のご飯は味を完全無視した栄養のみ重視のものになるらしい。
そして、全員が的に弾を当てられるようになった部屋から、補助魔法の訓練を開始する旨も伝えられた。つまり、ルイの口ぶりからして補助魔法も基礎なのだろうが、この訓練はそれよりもさらに基礎中の基礎と言ったところなんだろう。
説明が終わると、周りにいた軍人さん達が銃の配布を始めた。その間に、渚隊長は必死に風花隊長の機嫌を直そうと頑張って謝っていた。
全員への銃の配布が終わると、無事に機嫌を直すことに成功したのかウッキウキに変わってる渚隊長口を開いた。
「皆もらったか?それやったら、なんも質問無かったら訓練始めるで。」
「あ、はいはーい。僕一個だけ聞きたいことありまーす。」
その一言に皆の注目が一気に凜に集まる。自分で聞いておいて、質問が来たのが少し意外だったのか渚隊長はちょっとだけ驚いていた。それに対して風花隊長は、いかにも予想通りという風に呆れた感じに構えている。どうやら質問内容が分かってるっぽい。
「あのー、魔力ってなんなんですか?」
「あ、あーせやせや!そういえば言っとらんかったわ。すまんすまん。」
完全に忘れていたらしい渚隊長は少し焦ってそう答えた。おそらくそれもちゃんと教えるように上から言われていたのか、また風花隊長にジト目で睨まれてて肩身が狭そう。
「魔力っちゅうのは、自分らが生まれたときから持ってる魔法を扱うための燃料のことやで。」
「基本的に、魔力の量は生まれた時は皆同じなんやけど、魔法をつこたら使うほど魔力って増えていくんよ。」
「せやからこの訓練の目的の一つにも、魔法をぎょうさん使わせて、自分らの魔力を増やすことがあるんや。」
忘れてたことを少し申し訳なさそうに、渚隊長がそう締めくくると、そこで魔力についての説明が終わった。
その後は他に質問も出なかったため、各自自分の射撃スペースに向かっている。
ふと周りを見ると、一般の子達は初めて持つ銃にビビっているのに対して、魔法の使用経験がある軍家の人達は意気揚々と射撃スペースへと向かっていっていた。
よくよく考えてみれば、皆この銃を扱うのは初めてだけど、魔法の攻撃なんて軍家は何回もやってるだろうし、アドバンテージはあるだろう。追いつけるように頑張らなくちゃ。
皆が配置に着くと、狙うための的が実践開始のラッパと同時に上から降りてきた。そういうシステムなら、射撃訓練なのに的がないって言った渚隊長の気持ちも分かる気がする。
的と自分との距離は大体20mくらいかな?すっごい数字にすると小さいはずが、的がすっごく小さく見えた。
とりあえず扱いが分からないから渚隊長の真似をして銃をクルクルしてから構えて、窓に狙いを定める。
(狙いを定めて、引き金をー引くっ!!)
カチッ
(あれ…?)
カチッカチッカチッ
(弾が…出ない?)
攻撃を何度イメージしても全然弾が出ない。
自分だけかと思わず不安になって周りを見渡してみると、弾が出ていないのは私だけじゃないようで、むしろ弾を撃てている人の方が極わずかのように見えた。
その撃てている人達さえも、発射された弾は的とは全然違う方向に飛んで行っており、的に実際に当てている人はこの中でなんとゼロ人だった。
気になって隣のルイを見ると、ルイも弾を撃てている数少ないうちの一人だったが、やっぱりその弾は的にはかすりもしていない。
「あたしが当てられないなんてそんなはずない…魔法なんてずっと使ってきたのに…。」
うわ言のようにそう呟きながら、ルイはずっと弾を打ち続けていた。
まるで絶対に当たらないことが分かっているような動揺の仕方から、多分未来視でずっと当たらない未来が見えてしまったのだろう。
それからしばらく皆撃ち続けていたが、的に当てるものがついに現れることなく訓練終了五分前になった。
そんな状況になっても、教官ふたりや周りの人はただ見ているだけで、全く教える素振りがない。それにうんざりしたのか、1人の訓練兵が持ち場を離れ、二人のところに向かっていった。
「教官、副教官。このままじゃ無駄なことを繰り返すだけです。具体的なやり方を教えてください。」
その言葉で訓練場の空気が少しピリつく。少しして口を開こうとした渚隊長を手で制止して、風花隊長が話し始めた。
「残念ですけどそれは無理です。確かに補助魔法や属性魔法などは、やり方を教わらないと絶対に使えるようにはなりません。」
「ですが、この訓練は知識の問題ではなく、あなた達自身の慣れや自分の魔力の捉え方、扱う想像力によるものです。」
「なので、私たちがいくら客観的に言葉で教えたところでほとんど意味はありません。自分で感覚を掴むまで試行錯誤するしかないんです。」
風花隊長がそう言い切ると、話しかけた子は少し不愉快そうに持ち場に戻って行った。
あれは怒られそうだと思って風花隊長をみると案の定若干キレそうだったけど、渚隊長が頭撫でていなしてくれてたおかげで事なきを得た。
結局その後も的に当てられる人が出なかったせいで、私達はみんなで不味すぎる夜ご飯を食べて初めての訓練が終わった。帰ったあとの部屋の空気は正直昨日の入隊式よりどんよりしてて、ちょっと居心地が悪い中で床につく。
(これからちゃんとあれを扱えるのかなぁ)
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