第3話

「それでね、あの」


 そう、話かけると、


「アトラフィルさん」


 そう、名前を呼ばれる。


「はい」


「オレの中で、こういう会い方した人で10人中9人は、絵とかなにか買わせようとしたり、詐欺にかけようとしたり。アトラフィルさんが、そういう人じゃないっていうのはわかったけど」


 疑いの目で、わたしを見るアファエル。


「えっ、他にも会ったりしてるんだ………」


 そっちの方が、気になってしまう。


「キミだって、そうだろ?」


「ううん、はじめてです」


 こういう会い方は、ちょっと勇気がいるから。


「ホントに?」


「うん、だってホスト行ったら、ドンペリあけろ、ドンペリあけろって。イヤになったの」


 冷静になったら、ちょっと無理かなって。


「ホストに、ハマってたんだ?」


「ハマってはない」


 そこまで、盲目に好きになった人がいなかったのかも。


「へぇ、なるほど」


 腕組みして聞いていたアファエルが、ほどいて背もたれに背中をつける。


「今日は、恋人ってことで」

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