第1話 改めてあう

「えーっと、070-2435-391………」


 メモ帳に、控えていた番号をスマートフォンに入れる。


「よし、914合ってるわ、よし」


 確認して、発信するわたし。


『あっ、今待ち合わせ場所にいます』


 男が、電話に出る。


「あの、すいません!」


 スマートフォンを、耳に当てている人を探す。


『えっ? どうしました?』


 不思議そうな声を出す男。


「ちょっと、遅れそうなんです」


 少しウソを言って、様子をモニタリングする。


『あぁ、メッセを送ってくれたら』


 普通はね。


「せっかく、電話番号を交換したのですし、走りながら打てなくて」


 ホントは、約束の1時間前にここへ来ているの。


『あぁ、気をつけて来てください』


 電話なのに、ペコッとしている男性。


「もう、着きました」


 ちょっと、ビックリさせてみる。


「あっ、アトラフィルさん?」


 思ったより、優しそうな男の人だね。


「はい、アトラです。アファエル・ファネンさん?」


 そう、聞いてみると、


「そうです。とりま喫茶店でも行きます?」


 アファエルさんが、向こうを指差す。


「はい」

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