第11話 盗聴器
俺は生徒会に入ったわけだが、これといって教師陣との接触はない。
日々の生徒会業務を淡々とこなしていくだけだった。
しかし、遂に月に一度の教師陣との定例会があった。
俺はその定例会に出席していた。
ちなみにリラは部外者なのでここにはいない。
生徒会室でお留守番だ。
「はじめまして、書記のジェイクです。」
「はじめまして、庶務のリリアです!」
「ああ、よろしく。
私は主任教師のエドガーだ。」
短髪の白髪頭、堅物そうな男だ。
エドガーは続ける。
「ところで、シャーロット君。
君、このままでは卒業できないのではないかね?
事故の治療でテストが受けられなかったとはいえ、留年は留年だ。」
そうなのか・・・。
「はい・・・。
どうにか再テストを受けられないか、バルタザール学長に問い合わせてみます。」
「まあ、無理だとは思うが、ダメもとで頼んでみるといい。」
バルタザールだと・・・!?
会長がバルタザールに接触するのか。
これはチャンスかもしれん。
おそらく、バルタザールは会長の弱みに付け込み、セクハラを始めるはず・・・。
そこを録音しさえすれば、こちらのものだ。
その後、定例会は簡単な進捗報告をして終わった。
会長が言う。
「恥ずかしいとこ見られちゃいましたね。
エドガー先生の言う通り、私、このまま卒業できないかもしれないの。
そしたら、また会長になっちゃおうかしら。
あははは。」
俺は切り出す。
「会長、バルタザールに会うんですよね?」
「ええ、どうかなさいまして?」
「バルタザールは危険です!
弱みにつけ込み、何をするかわからない・・・。」
「あらあら、学長には数回会ったことがありますが、そんな危険な方には見えませんでしたけれど・・・。
なにか理由でもございますの?」
殺し屋ヴェスパーからそう聞いたとは言えない。
俺は適当に作り話をする。
「ええ。噂ですが、友人からそのように聞きました。
会長にもしものことがあってはいけない。」
「あらまあ、私を心配してくださるなんて。
うふふ、ジェイクさんったら優しいのですね!」
何やらあまり信じてくれていない様子。
「噂ではありますが、確かな情報なんです、信じてください!
いや、信じなくてもいい。
せめて、俺の盗聴器を肌身離さず持っていてください!
なにかあれば俺がすぐに駆け付けます。」
「と、盗聴器!?
ジェイクさんのお気持ちはうれしいですが、そこまでしなくても大丈夫ですよ?
それに、学長に対してそんな盗聴するなんて・・・。」
くそ、信じてくれないか・・・。
このままでは盗聴器を持って行ってはくれない。
これはバルタザールの悪事をあばく最大のチャンスなのに。
こうなりゃ、これしかないか?
俺は最終手段に出た。
「会長!」
俺は会長の目を見つめる。
「会長、俺・・・。
会長のこと、好きなんです!
好きな女のこと守りたいって思うの、おかしいでしょうか!」
俺は人生初の告白をウソ告白にしてしまった。
そりゃ、会長は可愛いし、付き合いたい・・・というかエッチしたい。
でも、好きとは別な気がするんだ。
ウソ告白をしてしまったが、会長に盗聴器を持ってもらうにはこれくらいの嘘はつかなくてはならないだろう。
会長は驚いた様子だ。
「えええ・・・。
そんな急に言われても・・・。
わ、私、男性とお付き合いしたことないし・・・。」
イエスかノーかは正直問題ではない。
盗聴器を持ってもらうことが目的なのだ。
「あの、返事は待ちます。
でも、この盗聴器だけは持って行ってください!」
「そ、そこまで言うならわかりましたわ。」
よし、作戦通りに盗聴器を持ってくれた。
そうして、俺は会長のもとを後にした。
さて、盗聴器がしっかり作動しているか聞いてみるか・・・。
俺は盗聴器の音を専用の端末から聞いてみた。
「ジョボジョボジョボ・・・・」
ん? 水の音?
「ジャーーーー!!!」
ってこれ聞き覚えがある。
トイレの音だ!
ってことはあのジョボジョボ音・・・会長のおしっこの音かよ!!!
「お前は何を聞いているんだ!!!
この不埒もの!!!
正義の鉄槌だ!!!」
横にいたリラが俺のみぞおちにグーパンチ!
「いってーーー!
仕方ないだろ!
会長、トイレの時くらい電源切っとけよ!」
「いや、ジェイク。
電源の切り方教えていないだろう?」
「あっ、そうだった・・・。」
こうして、俺はシャーロット会長に盗聴器を仕込んだのだった。
=== 作者あとがき ===
次回、会長との熱いキス!
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