第7話 迷宮に潜むさらなる罠

ユウたちは、次の仕掛けを進む前に、一度立ち止まって考えた。先ほどの罠の解明によって迷宮全体の構造が見え始めたが、まだ全てを把握できたわけではない。ここで慎重に行動することが、今後の進展を左右するだろう。


「一度他の罠や仕掛けを調べてから進んだ方が良さそうだ。今回の罠も偶然見つけたわけだし、他にも隠されたものがあるはずだ」ユウは周囲を見渡しながら仲間たちに告げた。


「確かに、他にも何か重要な仕掛けがあるかもしれない。進む前に、それを把握しておくのは賢明だな」ゼンが静かに同意する。


「じゃあ、罠や仕掛けを徹底的に探そう。先に進んでから後悔するのは避けたいしね」リナが手に持った弓を握りしめながら慎重に言った。


「同感だ。ここまで来たんだ。慎重に行こう」カイも剣を腰に納め、探索の準備を整えた。


---


一行は再び迷宮内を慎重に歩き始めた。目に見える範囲には変わった仕掛けや罠はないが、この迷宮は複雑であることが、これまでの経験から明らかになっていた。見えない罠や仕掛けが、至る所に隠されているかもしれない。


「おかしいな……この場所、何かが違う」リナが足を止め、床の模様をじっと見つめた。


「どういうことだ?」ユウが近づいてリナの視線の先を確認する。


「この模様、他の場所とは少し違うの。微妙に浮き上がっているように見える……何か隠されてるんじゃないかしら?」リナが指で床を触り、感触を確かめる。


ユウもその模様に目を凝らし、床の形状が他の場所とわずかに異なることに気づいた。「確かに……この模様、仕掛けが隠されているようだ」


「俺に任せろ」カイが前に出て、慎重にその模様の周囲を調べ始めた。「仕掛けがあるなら、どこかに起動スイッチがあるはずだ」


彼が調べていると、模様の中心に小さな石が浮き上がっているのを発見した。「ここだ……この石を押してみよう」


カイはその石をゆっくりと押し込むと、迷宮の壁全体がまたしても微かに揺れ、遠くから何かが動き始める音が響いた。


「また仕掛けが動いた……」ゼンが険しい表情で周囲を見渡す。


「どうやらこの模様、迷宮全体に影響を与える装置の一部だったみたいね」リナが鋭い洞察を述べた。


「仕掛けが動いたってことは、何かが解放されたかもしれない。それが罠なのか、それとも別の通路を開いたのかはわからないが、慎重に進もう」ユウは警戒を解きつつも、冷静に仲間たちに呼びかけた。


---


さらに進むと、壁にいくつかの石板が組み込まれているのが見えた。リナが壁を触り、その石板が取り外し可能であることを確認する。


「この石板、取り外せそうよ。何かの隠しスイッチかもしれないわ」リナが慎重に石板を取り外すと、裏側に小さなレバーが見えた。


「間違いない、これも罠の一部だ」カイが言った。「この迷宮は、罠を解くことで道が開けるように作られているんだろう」


「それならば、進むべき道がまだ先に隠されているはずだ」ゼンが冷静に分析し、先を見据えた。


ユウはレバーを引き、再び遠くから金属音が響くのを聞いた。「この仕掛けも作動した。次の通路が開けた可能性が高い」


「じゃあ、進みましょうか。この迷宮の仕組みが少しずつ見えてきた気がするわ」リナが自信を持って先頭に立った。


---


彼らはさらに進んでいくうちに、大きな石扉の前にたどり着いた。これまでに作動させた仕掛けによって、この扉が開くようになっているのだろう。


「ここが次のステージへの扉か……」カイが感心したように扉を見上げた。


ユウは扉に手をかけ、ゆっくりと押し開けた。重々しい音を立てて扉が開くと、目の前にはさらに広大な空間が広がっていた。その中央には、巨大な石像が立ち、その足元には無数の罠が設置されているようだった。


「これが次の試練か……気を引き締めて進もう」ユウは仲間たちを見つめ、前進を決意した。


「でも、この石像も何か意味があるはずよ。ただの装飾品じゃないわ」リナが鋭い観察眼で石像をじっと見つめた。


「また罠かもしれない。慎重に動くんだ」ゼンが警告を発し、全員がさらに警戒を高めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る