第3話 科学者アリスのささくれ②

 そんな生命の象徴ささくれと、無関係なアンドロイドが結びついたら面白いかな、と。それをケアする吾妻についてはすぐに映像が浮かびました。さらにアリスは女で確定。主役級に女を据えるのはほぼ初めてでした。


 ただ、カクヨム初心者マーク時代の作品なんで、情景描写の力がなく……(過去作は成長の証として直さない主義)。対話形式になりました。でも、遺言だし、結果的に良かったかもしれない。


 死に際のメッセージなんで脈絡なくていいかな、と思ったんですが、読みづらいよなと思い必死でつないでいますw なんせ初心者だし。


 死にたがりというよりは、生まれてくる意味知りたがり、であり、内容については本文のままです。



 ラスト近くになり、タナカへの愛着、吾妻との日々が思い出される。


 タナカへの愛着は、親心です。アリスに初めて愛の感覚が生まれる。そしてそれはアンドロイドが教えてくれたという皮肉。高度な技術により生まれたタナカは、アリスにしかメンテナンスできないからです。


 吾妻との思い出は、男女の恋愛感情が生まれるにはささやかです。それくらいの男なら他にもいたと思います。吾妻を意識した決定的な出来事は、名前のエピソードです。


 アリスほどの天才でも、女の苦労無しでいけたでしょうか。ある程度優遇されて、数段飛びで駆け上がったとしても、生物としての透明な天井がある。頭良すぎてモテないとか、適齢期をすぎると母にはなれないとか。普通の男性がアリスを選ぶかというと……。本人はこだわっていないようにしてるけど、本当はどうだったんだろうか。


 そんなアリスを肯定してくれた吾妻。吾妻はアリスを恋愛対象としては見ていない。いつもの優しさ、お得意のリップサービスだったかもしれない。でも、「大地として男に生まれていたら……」という思いをあっさり否定してくれた……ようにアリスは感じた……かもしれない。


 大地とアリスは私の中では対極で、生物とアンドロイド、自然と人工、秩序と不思議……みたいな感じにとらえています。


 アリスは生まれてから死ぬまで自分のことしか考えていなくて、科学者としてあるまじき哲学、信条のなさです。だから子どもっぽい。


 死ぬとわかってようやく愛に目覚め、吾妻を思い出し、吾妻への恋心に気付きそうになりますが、果たして間に合ったのか。ただ、その過程で周りへの感謝の気持ちに至れたのは良かったです。間に合いました。


 アリスは、物事を論理的に操り、人の感情すら同じように処理できる。自分は本当に人間なのか? 生まれてくる意味があったんだろうか? そういう問いにタナカと吾妻が答えをくれた。いや、答えなんて、本当はいつでも日常に溢れていた。そういう話でした。



 ぽんぽん丸先生に「揺れている」ことを評価されて良かったです。書いてる時は思いつきの連続だったな、とあまり好きな作品ではありませんでしたが、今見ても直すところはないので、書きたいことは書いていたんだな、と。今になって、「明確でないものを書く難しさ」を感じてるので、未熟ながらに無意識にもチャレンジしていたのは良かったです。



 そして月日は流れ、「いつまでもこんなマイルドコーギーなんかじゃないんだぜ!!」って気持ちで書いたのが、『飼育される人間』ですwww 次回からそちらにうつりますwww

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