第14話 天国まで伸びる樹は地獄まで根を張る
「ルナンの民よ!さっさと顔を出せ!殺しはせん。不用意なことがなければ、な」
低く心臓を掴まれるようなその声が、おそらくは魔道具によって拡大されて全員の耳に響いた。俺はカンナが作ってくれていた土のドームを解くように合図し、その声の主を直視する。漆黒のローブに身を包み、フードを被った顔はよく見えない。どこの兵士とも思われない異様な雰囲気を放っている。魔素の揺らぎはなぜか全く見えず、戦艦からどう降り立ったのかも不明だ。しかし、間違いなく敵だと言うことは分かる。
それにしても……たった独り戦艦から降り立ち、あまりに不用意なのはそちらではないかと言いたくもなる。この数の人間たちを目前にあまりにも無防備だ。案の定、取り乱した群衆の中から、一筋の炎が黒ローブの男に向かって飛んでいく。便乗する形で多くの人が魔法を放った。風の刃、水の手裏剣、土の矢……。
「家族の仇じゃ!」
「祖国から出ていけ!」
多くの怒声と共に放たれた魔法はどれも殺意がこもったものだったが、男に届くことなく不自然に立ち消える。当たる寸前でどこか別の次元にでも飛んでしまったように。特に何の魔法を使った訳でもなさそうだが、あんなことが可能なのか?
「はぁ……言ったばかりであろうが!この愚民共がぁ!」
ドスの効いた唸り声が響くと同時に、群衆の中から悲鳴があがる。突如現れた闇によって、魔法を放った一帯の人々が飲み込まれた。奴が放ったのだと思われるが……あり得ない。魔力干渉の範囲外であのようなことは不可能だ。
「ただのモブ風情が。貴様ら如きに用はない。どんな魔法だろうが我には通用せぬ。理解しろ。そしてひれ伏せ」
男は被っていたフードを脱ぎ顔を見せた。しかしながら、その顔は真っ黒な光沢を禍々しく放つ、フルフェイスのヘルメットに包まれており、人相や表情といったものを読み取ることはできない。ふと魔素の揺らぎを感じ、隣で手を繋ぐカンナを見ると何か決意したように見据えている。戦うつもりなのか?いくらカンナでも危険すぎる。
「さて、我ら
けばくしゃ?いったい何の事を言っている……?聞き慣れない単語に困惑する。群衆は恐慌状態のままその声に聞き入っていた。
「お前の選択肢は2つだ。我々の元へ戻るのか、もしくは……」
「死ぬか、でしょ?」
カンナが声を発すると同時に、俺の手を振り払い、仮面の元に歩いていく。どういうことだ?カンナがやつの探す繋縛者だと言うのか?
「そこに居たか。愚かにも我らに仇なした罪深き者よ」
「おい!カンナ!」
咄嗟にその手を掴もうとする。どこか、遠くへ行ってしまう。そんな気がした。
「来ないで!」
振り返りもせずに冷たい声が耳をつんざき、伸ばした手は恐ろしいほどの魔力に触れて躊躇してしまう。だけど。俺は半ば無理矢理に彼女の手を掴んだ。離すわけにはいかない。
「ごめんね。トバリくん……」
一瞬の閃光。放たれた光魔法が腹部を直撃する。意識を失いかけるほどの重たい一撃だ。掴んでいた手が離れ、その場に膝をついて倒れる。魔力が腹の魔素を維持することにしか使えない。くそ。立ち上がって彼女を止めなくては。だが、背中は無情に遠ざかっていく。
「さて、お前が現れてさえくれれば……後は用済みだな」
「それはさせないよ」
「ほう?」
「閃光の
カンナが叫ぶと同時、彼女を中心に半径50メートルほどの光球がドーム状に広がり、男が集めていたと思われる闇の魔素が散っていく。あんな魔法が使えたのか……魔力干渉もあの範囲まで。模擬戦ではまだまだ手を抜いていたわけだ。俺は情けない姿勢のままに、その様子を眺めていた。それしかできない自分があまりにも非力に思える。
「彼らは無関係。殺さないで」
「ふーむ……」
仮面の男は腕を組み首を傾げる。
「それが貴様の宣う正義とやらか……?全く理解できんな。正義とはもっと崇高なる目的のためにかざすもの。こんな有象無象ども、どうせすぐ増えるだろうが」
「あなたたちは分かっていない。全部知った気になっているけど、その計画が自らの首を絞めることになる」
「知った気になっているのは貴様の方だ。新参如きが我らの計画を愚弄するな」
「あなたたちは盲信して、真実が見えていない。どれだけ情報にアクセスできようと、そのままじゃ必ず滅びる。目の前の命を軽んずれば、いつか手痛い報復が訪れることになる」
「ならば、止めてみろ。我からすれば、お前の命も軽いがな」
当然、顔は見えない。だが、声音から笑っているのがわかる。心臓を握られたように胸に鋭い痛みが走った。嫌な予感というような安直なものではない。命を握られている確かな恐怖だった。
「やめないなら、殺す」
カンナは魔法によって光の鎧を身にまとい、槍を構えた。初めて見る魔法だ。列強国の騎士に似た白銀の鎧。その背に天使のような翼が輝きを放っている。その神々しい姿を見て群衆の中から、天の御使いだ!神様!などと拝み始める人も現れていた。
「殺す……?フフフ……フハハハハ」
おぞましい笑い声が周囲に重く響く。心底面白いとでも言うように、余裕がありすぎて不気味さが際立つ。腹を抱え、顔に手を当てがって笑っているその男に、一瞬で間合いを詰めたカンナの槍が突きつけられる。一切の躊躇が見えない神速の突き。あまりにも速いがあの場を囲う光球による効果だろうか。
「悪い悪い。流石に伊達ではないようだな」
だがその突きは黒い障壁によって弾かれる。魔力干渉による魔素の揺らぎが全く見えなかった。そして男がいつの間にか手にしていたハンドガンから、複数の黒い弾丸がカンナへと向けられる。あれは、魔法によって生み出された訳ではなく、魔法陣が組み込まれた魔導武器だろうか。それにしても、ルナンの軍が使うようなものとは出来が違う。出力が強過ぎる。
「チッ」
普段のカンナからは想像できないが、余裕のなさからか舌打ちが漏れ聞こえる。側方へ飛びすさり、高速で放たれる弾丸から身を避ける。あの鎧なら耐えられそうなものだが……直後、俺の目には見えなかったが、黒ローブの男はカンナの後ろに回り込み真っ黒なナイフで切り付けた。柄の部分には魔法陣が赤く淡い輝きを発しているのが見える。何がしかの魔導武器だろう。そんなものが鎧を貫通するとは到底思えない。だが……。
その予想を覆す事態が起こった。一瞬にして鎧の数箇所が切り裂かれ、そこから魔素が溢れ出す。カンナは苦痛のうめきを漏らしながらも、すぐさま羽を使って跳躍する。そして振り返りざまに無数の光の矢を放った。逃げ場のない弾幕だ。しかし、その行く手を円状の闇が阻み、その中へと矢は消えていく。虚無の
「暗黒物質の
重く響くその言葉に呼応して、空中のカンナを取り囲むように、無数の巨大な黒い釘が放たれる。遠距離で全方位からの攻撃。無茶苦茶だ。魔法の法則を無視しているとしか思えない。現に魔力の干渉や魔素の揺らぎはいまだに観測できなかった。
「聖なる
カンナが羽で体を抱えるように丸くなると、瞬間的に辺りが真っ暗になる。周囲の全光魔素が彼女の体、その中心の一点に集まっていき……それが突如として爆発を起こす。俺たちがギリギリ巻き込まれない範囲で、莫大なエネルギーによる高濃度の白い炎が周囲を焼き尽くした。グラウンドだった場所には大きなクレーターができている。ものすごい風圧が押し寄せ、よろけて倒れる人たちも多数いた。これは流石に勝負があっただろう。あれで生き残れる生物など存在しない。それほどの威力だった。どんな壁魔法であろうが盾であろうが、あの爆発は耐えきれない。
そんなあまりに桁違いの戦いぶりに、ほとんど全員が唖然とした表情をしている。よく見ればクラスの連中も集まっているようだが、皆が一様に驚きに目を丸くしていた。俺自身も例外ではない。これは本当に現実の出来事なのか。カンナは何者なのか。疑問は尽きない。
――
「カンナっ!!」
爆発が収まった直後、空中にいたカンナが地面にボトリと転がり落ちた。俺は腹を押さえながらも走って駆けつける。魔力切れだろう。でも死んではいない。まだ、実体があるのだ。魔素の揺らぎも見える。よかった。
「来ちゃ……ダメ!!」
よろよろと立ち上がったカンナは近づく俺に向かって大声で叫ぶ。なぜ?そう問いかける言葉が喉から出る前に、意味を理解した。煙の中に人影が見える。そいつはパチパチと乾いた拍手をしながら歩いてくるのだった。ありえない。
「さすがと言ったところだな。いやはや天晴れだ」
「どうして、あれを喰らって生きてるんだ!?」
俺は叫んでいた。あまりにも理不尽だ。カンナが全力を込めた一撃を放ったのに。あの距離では躱わすことなど不可能な筈なのに。それどころかあんなデタラメな魔法を耐え切る魔法なんてあるわけがないのに。
「出しゃばるな、モブが。貴様らには言ったところで理解できん。神々が残した遺産。我らだけが授かりし力だ。無論、そこの繋縛者には、もはやできない芸当だがな。だから哀れにも敗れた。仕方のないことだ。もはや楽にしてやろう。背くものには同情の余地などないが、そこそこ楽しませてもらったからな」
このまま彼女を死なせるわけにはいかない。俺は彼女の前に走りでる。俺に何ができるとも思えない、だけど体が勝手に動いていた。恐怖に足がすくむ。魔素の揺らぎでもないのに、なんだこの異様なプレッシャーは。どうしてカンナはこんな化け物と戦えるんだ。
「ごめんね……守り、きれなかった」
カンナは肩を、魔素を、いつになく揺らしていた。複雑な感情が込み上げてくる。怒りや悲しさ、悔しさや恐怖、愛おしさや守りたいという気持ち。浮かんでくる数々が魔力の揺らぎを大きくし、コントロールが効かなくなりそうだった。でも、どうにかしないといけない。彼女が守ろうとしたものを俺も守りたい。一番は彼女自身を。
「全員逃げろ!俺がどうにかして時間を稼ぐ!!」
気づけば叫んでいた。なんの策もない。あの戦いを見て、介入する余地などないことは明らかだ。だけど、立ち向かうしかない。彼女を置いて逃げるなんて、それだけは嫌だった。
「全く。まあいい。貴様らモブ共の命など、どうでもいいことだ」
黒づくめの男が銃を取り出すと、ほとんどの人たちは我先にとその場を後にしていった。これでいい。俺は魔力を解放する。干渉を広げ、やつの体を包み込む。するとほんの一瞬、驚いたのか動きが止まった。全く効き目はないだろうが、舐めている今が唯一のチャンスだ。すでに日は沈み、夜が訪れていた。俺が扱える全力の攻撃魔法を放つ。
「暗闇の
黒い影がやつの体の周囲を覆い尽くし、そのまま握りつぶす。俺はイメージを明確にするため右手を前に突き出して、開いた手を強く握った。しかし、奴が手を触れたところから影はサラサラと崩れるように霧散する。あんな簡単に。そう思うのも束の間、奴は銃口をこちらに向けてくる。俺は死んだ。そう思った。
「真紅の
突如、巨大な火球がその男の元へと降り注いだ。そちらに気を取られたらしく、おかげで俺はなんとか生き残ることができた。無論あの男は平然としている。
「クッソ楽しそうなことしてるじゃねぇか!混ぜろよ!クソども!」
しゃがれた声とともに、長く伸びた赤髪を靡かせた男が、オーリーボードに乗って現れた。よりによってコイツかと思わないこともないが、とにかく少しでも命が繋がれたことは感謝しよう。
「次から次へと湧いてくる蛆虫が。そんなに死にたいのか?」
ドス黒い声が響く。声音には確かに怒りが滲んでいた。
「カルラ助かった!くるぞ!」
「そんなことは知ってんだよ!クソ落ちこぼれ!」
銃弾に加えて無数の黒い槍が空中の弥生カルラ目掛けて飛んでいくが、それを華麗なボード捌きで避けている。授業では見たことがなかったが、やはりかなりの腕前のようだ。それどころか楽しそうに笑っている。なんてやつだ。命懸けの戦いだというのに。いや、むしろそれを望んでいたのだろうか。
「調子乗んなよ、クソ仮面野郎!」
カルラの放った無数の火の玉は地面スレスレで連鎖爆発を起こし、クレーターはさらに歪に形を変化した。だがやはり仮面の男には傷1つつかない。一体どうなっているんだ?俺はもう一度魔力を整えながら、カンナを見る。彼女は意識を失ったようで、倒れていた。なんとしても守らなくては。
「ブンブンとうるさい蠅が……死ね。闇の
男がそれこそ羽虫でも潰すようにパンっと音を立てて手を叩く。するとその動作と同時に空中から巨大な影のような手が出現し、カルラを潰しにかかった。咄嗟に飛び降りて難を逃れたが、ボードは無惨にもひしゃげて落下してくる。着地とほぼ同時に悪態をつきながら、炎の大剣を構えて走っていく。あんな奴に接近戦を挑むなんて、馬鹿も過ぎると頼もしい。
「援護しろ!クソモブ!」
お前まで俺をモブ扱いするのか、と内心少し笑いながら、後を追って駆ける。こうなれば勢いに任せて手数で攻めるしかない。いくら高度な魔法の使い手であろうと、一度に使える魔法自体は多くないはずだ。それに魔力だって無限じゃない、はずだ。闇の魔槍を複数放つ。当てるというよりは、動きを牽制するように相手の逃げられそうな位置を先読みしながらだ。
「第八の
男の背中から複数の黒い触手のようなものが飛び出して、槍は次々とはたき落とされる。しかし、少しばかり仕掛けをしておいた。壊れた槍は砕けると同時に煙幕へと形を変え、辺りを黒く染める。にしても一斉に壊されるとは想定していなかった。これではカルラの妨害になってしまうかもしれない。だが、状況に即座に対応したカルラは、真っ暗な周辺を一気に焼き尽くすほどの巨大な火球を出現させて、それを放つ。
「
半径10メートル以上に及ぶ炎の塊によって爆風が起こり、高温の熱波があたりに充満する。やりすぎではないかと思われるほどの威力だ。普通の相手ならば過剰だろう。巻き上げられる黒煙でまたもや爆発の中心部は見えない。カルラもかなりぶっ飛んだ強さだ。
「ハハ!イカの丸焼きの完成だな!クソッタレ!」
触手にイカ墨とは、言い得て妙だ。カルラはかなり魔力を消費したようで、座り込んでいる。反撃が来ないことを見るに、本当に倒したのか?微妙な静寂が辺りを包む。カンナはいまだに目を覚ましてはいない。周りの人たちはうまく逃げたようだ。
「その齢にしては魔法をうまく使うじゃあないか?少しは興味が湧いたぞモブども」
声のする方を見た瞬間、黒煙の中から影の手が伸びてきて俺とカルラは一瞬で捕えられる。なんだこれは。何も抵抗できない。魔力が吸われている?魔法を放とうとするが魔力が扱えない。ジタバタともがいても、握られた手はびくともしない上に段々と苦しくなってくる。カルラも同じようにクソッタレと漏らしながらも抵抗できない様子だ。
「そこで黙って見ていろ。祝福すべき死の瞬間をな。この世界を混沌へと落とそうとした業深き乙女の死をな」
やはり無傷だった男はツカツカと余裕の足取りでカンナへと近づいていく。
「や、めろ!」
なんとか声を絞り出す。やめてくれるわけなんてないのに。意識が飛びそうになりながら、カンナの方を見やる。するとぼやける視界に誰かの人影が見えた。カンナを庇うようにして立っている。誰がこんなところに?
「誰だか知らないけれど帰ってくれる?明光さんとは再戦の約束があるの」
「どいつもこいつも……」
残る6本の触手が青い艶やかな髪をポニーテールに結んだ彼女、水無月ルリへとまっすぐに伸びていく。掴もうとしたその影を華麗な身のこなしでするりと交わしながら、切り伏せていく。彼女の持つ二振りの刀によって。
「気持ちが悪いわね。死になさい」
「ほう。モブにしては悪くない太刀筋だな」
水無月はなんの迷いもなく仮面へと距離を縮める。相変わらず肝が据わっている。本当にすごい。男はマントの下から銃剣とでも呼べそうな魔導武器を取り出す。それは変形して大型の銃の形になり、強力な弾丸を放った。魔法陣の発光とともにものすごい速さで吐き出されたその弾は水無月の胸を貫いて、彼女は一瞬にして魔素の揺らぎとなり消えた。
「水無月……!」
あまりに一瞬の出来事にしばし呆然として、状況がうまく掴めない。人はこんなに呆気なく死ぬものなのか?するとどこからか声が響く。
「うるさいわね。先に殺すわよ?」
水無月は男の後ろから突如姿を現し、刀で切り掛かった。銃剣で受け止められてしまうものの、反撃を許さない凄まじい剣戟だ。二刀流の相手を一刀で対処することに手こずるのは、あの男とて例外でないらしい。
「やはり幻影の
「負け惜しみかしら?これならどう?」
二振りの剣戟に加えて、放たれた鋭い回し蹴り。無駄のない動きで躱されたものの、足先から追加の水斬撃が飛ぶ。これには意表をつかれたらしい男は、腹に斬撃を喰らって吹き飛ばされる。それと同時に俺とカルラを掴んでいた魔法は解除され、俺たちは地面に振り落とされた。しかし、奴がまともに攻撃を受けたのは驚くべきことだろう。俺はおぼつかない足取りでカンナの元へ辿り着く。カルラもよろよろと立ち上がり始めている。
「助かった。ありがとう水無月」
「ふん。あんな雑魚に殺されかけるなんて、あなたたちには失望したわ」
あれを見た後では何も言い返せない。とはいえ……奴に目をやると立ち上がって首を左右にパキパキと鳴らしていた。あの程度でやられるほど柔な相手ではないか。
「貴様ら、もうこれ以上の慈悲があると思うなよ?」
「吹っ飛ばされておいてどの口が言っているのかしら」
「闇重力の
放たれた魔法の重力によって全員がひれ伏した体勢にさせられた。立ちあがろうにも立ち上がれない。まるで地面に吸い付けられるように、体が固定されている。水無月も例外ではないようで、仮面を睨みつけながら悔しそうに膝をついている。俺も魔法を放とうと試みるものの、全て地面に落ちて散り散りになってしまう。魔法までもこの重力の檻からは逃れられないようだ。
倒れた俺たちの間を悠々と男は歩き、カンナの元へ手を伸ばす。俺は悔しさに拳を固く握る。何もできない。守れない。自分の弱さに絶望する。いつも守ってくれていた彼女を、俺は救えないのか。どうして俺はこんなにも弱い。黒い影は容赦なく歩いていく。
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