第3話


「一応、聞いておこうか。井上。事件の日、どこにいた。」




 井上は、少し立ち止まった。同じ捜査チームの一員からかけられた声だ。






「もう一度言うか? 事件の日、どこにいた。」




「はぁ、それに何の意味が…」




「確認されたんだよ。お前の動機が。」




 井上は、怖くなった。神妙に、あたかも全て知っているかのように。全てが捜査のための技術だとわかっていても。




「………」




「それは、肯定の意味でいいのか?」




「い、いえ・・・ 私は、やっていません。」




「誰もおまえがやったとは言っていないぞ。」




「な・・・」




「連れて行け!」




 周りの刑事たちが、彼を捕まえていく。




「井上、おまえは取り調べでこう言ったそうだな。」




 少しためてから、彼は言った。




「犯人は、皆、そう言うんですよ。」


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