漢詩 拾壱

江南春 杜牧


千里鶯啼緑映紅

水村山郭酒旗風

南朝四百八十寺

多少楼台煙雨中



書き下し文


江南の春


千里鶯啼いて緑紅に映ず

水村山郭酒旗の風

南朝四百八十寺

多少の楼台煙雨の中


解説:


啼 テイ なく:


鶯 オウ うぐいす:


現代語訳:


鶯が千里に鳴いて、紅に緑が映える


水の村や山の酒屋では旗の風が。


南朝の時代には四百八十の寺があった


少しの楼台が雨の中煙る


私観:


紗:山奥が多い様に感じる。


たまたま提供元がその様な詩を紹介しているのか、


それともそれが中国詩の特徴なのか。


(二).


黄鶴楼 崔顥


昔人已乗黄鶴去

此地空餘黄鶴楼

黄鶴一去不復返

白雲千載空悠悠

晴川歴歴漢陽樹

芳艸萋萋鸚鵡洲

日暮郷関何處是

煙波江上使人愁


書き下し文


昔人已に黄鶴に乗りて去り

此地空しく餘す黄鶴楼

黄鶴一たび去りて復た返らず

白雲千載空しく悠悠

晴川歴歴たり漢陽の樹

芳艸萋萋たり鸚鵡洲

日暮郷関何れの處か是なる

煙波江上人をして愁へしむ


解説:


餘 ヨ

あまる・あます 外ほか・われ:


余る、と同義だと思われる


千載: 千に載る = 千年


艸 ソウ くさ:


萋 セイ サイ:草木の繁る様


現代語訳:


昔の人は黄鶴に乗りすでに去り


黄鶴桜 この地は空しく空く


黄鶴は一度去るとまた戻っては来ない


白い雲が空に悠々と千載し


晴れた川に連綿と漢陽の樹が。


芳醇な草が鬱蒼とオウムの中州に


日が暮れ、里の関所はどこなのか


川の上に人をやり煙の波がそれを愁う


私観:


紗: 情景を詠じた詩だろうか。


中国に行った経験がないので感じる情感は薄い


(三).


碩鼠


碩鼠碩鼠

無食我黍

三歳貫女

莫我肯顧

逝將去女

適彼樂土

樂土樂土

爰得我所



碩鼠碩鼠

無食我麥

三歳貫女

莫我肯德

逝將去女

適彼樂國

樂國樂國

爰得我直



碩鼠碩鼠

無食我苗

三歳貫女

莫我肯勞

逝將去女

適彼樂郊

樂郊樂郊

誰之永號



書き下し文


碩鼠


碩鼠碩鼠

我が黍を食ふこと無かれ

三歳女に貫ふるも

我を肯へて顧ること莫し

逝將に女を去り

彼の樂土へ適かん

樂土樂土

爰に我が所を得ん


解説:


碩 セキ おおきい


黍ショ きび


樂:楽の旧字だと思われる


適 テキ 外セキ

外かなう・ゆく・たまたま



號 号 ゴウ

外さけぶ・よびな


現代語訳:


大鼠 大鼠


私の黍を食べるな


三歳にして女を貫き


私を顧みる事は無い


女を捨てるが如く逝く


彼は楽園へ行き


楽園 楽園


誰がこの名を叫び続けるのか


私観:


紗:中国由来の比喩が多すぎて


あまり理解しがたい所がある


とりあえず楽園に行きたい事は伝わる。

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