漢詩 拾

贈内 李白


三百六十日

日日醉如泥

雖爲李白婦

何異太常妻


書き下し文:


内に贈る


三百六十日

日日醉ひて泥の如し

李白の婦爲ると雖も

何ぞ太常の妻に異ならん


解説:


醉: 酔


雖 スイ いえども:


太常: 古代中国の官職の一。


宗廟・礼儀・祭祀を管轄し、


博士の人事考課も兼ねる


現代語訳:


三百六十日


日々泥の如く酔う


李白の妻とは言っても


太常の妻と何の違いがあるのか


私観:


紗:よく分からない。 


おそらく李白は時の人で、


そして太常はあまり芳しくない役職であり、


李白の妻とは言っても、月並みの官職の妻と


何の変わりがあるのか、


と言った不平を言っている詩だと思われる。


「好きにするべきでは無いか」


そう思う。


(二).


春夜 蘇軾


春宵一刻直千金

花有清香月有陰

歌管楼台声細細

鞦韆院落夜沈沈



書き下し文


春宵一刻直千金

花に清香有り月に陰有り

歌管楼台声細細

鞦韆院落夜沈沈


解説:


楼台:高台


管: 管楽器


鞦韆: ブランコ


現代語訳


春の宵の一刻は千金に値する


花に清い香りがあり、月に影がある


細々と高台で歌と音を鳴らす


夜の院の中で鞦韆がシンシンと揺れている


私観:


紗:辺りには何も無いが、


ただその何も無い情景の中に、


ブランコだけが揺れているのが


外世観を感じさせる、と言った所だろうか


(三).


飲酒 陶潜


結盧在人境

而無車馬喧

問君何能爾

心遠地自偏

采菊東籬下

悠然見南山

山気日夕佳

飛鳥相与還

此中有真意

欲弁已忘言



書き下し文


盧を結びて人境に在り

而も車馬の喧無し

君に問ふ何ぞ能く爾ると

心遠ければ地自ら偏なり

菊を采る東籬の下

悠然として南山を見る

山気日夕に佳く

飛鳥相与に還る

此中に真意有り

弁ぜんと欲して已に言を忘る


解説:


喧 ケン

かまびすしい・やかましい


爾 ジ・ニ

なんじ・その:


然り、の意もあると思われる


籬 リ まがき・ませがき



現代語訳:


庵を建て、人里から離れた場所にいる


車馬は無く、騒がしさも無い


どうしてその様な生活ができるのかと君に問う


心が遠ければ場所も自ずから離れる


右側の垣の菊を採り、南山を遥かに見る


山の気は昼間良く、飛ぶ鳥は互いに与え還る


この中に真意がある


言葉を告げようとするが、すでに言葉は忘れた


私観:


紗:外世の地で風流を嗜む詩だろうか。


人里を離れて静かな暮らしを謳歌する詩だろう。


私的には、面白いと思うが。

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