漢詩 七

今日の漢詩(七)


「望月懐遠」


海上生明月、天涯共此時


情人怨遙夜、竟夕起相思


滅燭憐光満、披衣覚露滋


不堪盈手贈、還寝夢佳期


書き下し文:


海上 明月生じ、天涯 此の時を共にす。


情人 遙夜(ようや)を怨み、


竟夕 相思を起こす。


燭を滅して光の満つるを憐れみ、


衣を披りて露の滋きを覚ゆ。


手に盈たして贈るに堪えず、


還り寝ねて佳期を夢む。


解説:


遙 ヨウ はるか:


旧字


竟おえる きわめる つきる 


キョウ:


滋 ジ しげく:


紗:頻繁に、と言った様な意味合いを


持つだろうか。


盈 エイ みたす:


で合っていたと思われる


現代語訳:


海上に明月が生じ、天の際と一つになる


思う人は揺れる夜を恨み、


夕の果てまで互いに思う


蝋燭が消え、光が灯るのを憐れみ、


衣服を着て露の滋きを覚える


手で満たす事に耐えず、


返り寝て明日を夢見る


紗:恋人同士の密事を表した


詩文ではないだろうか。


疎いので解説は無い。


弐.


月下独酌(其一)


花間一壺酒、独酌無相親


挙杯邀明月、対影成三人


月既不解飲、影徒隨我身


暫伴月将影、行楽須及春


我歌月裴回、我舞影凌乱


醒時同交歓、醉後各分散


永結無情遊、相期邈雲漢


書き下し文:


花間 一壷の酒、独り酌みで相親しむもの無し。


杯を挙げて名月を迎え、影に対して三人と成る。


月既に飲むを解せず、影徒に我が身に随う。


暫く月と影とを伴い、行楽須らく春に及ぶべし。


我歌えば月徘徊し、我舞えば影凌乱す。


醒むる時ともに交歓し酔いて後は各々分散す。


永く無情の遊を結び、相期す遥かなる雲漢に。


解説:


花間: 花の中


将 : 


紗: また、さらに、等。


確かこの将は中国語では助詞の


「と」の様な使い方をしたとも思われる


「まさに」とも読む様な気がしたが。


須らく: すべからく


「総じて」と同じ意味であると思われる


裴 ハイ: 衣服の長いさま 


徘徊の徘と同義的な使い方をされると思われる


邈 バク マク はるか


雲漢: 天の川


現代語訳:


花の中の一壺の酒を特に親しむ者も無く


一人で汲む


杯を上げて明月に吠え、三人の影となる


月は酒を飲む事を解せず、影はただ私に従う


暫く月と影を供にし、春の様な気分で楽しむべし


月に歌い徘徊し、影は舞い凌ぎ乱れる


醒めた時に互いに交わり、酔った後はそれぞれが離れる


無上の遊びを長く結び、遥かな天の川と繋がる


考察:


紗:独り身の男性の酒の詩だろうか。


この様な系統の詩は多いと思われるが、


個人的にはあまり興味が無い所ではある。

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