第6話部長

部長の経歴は一風変わっている。

大学工学部の助手から、福祉の会社の部長として働いていた。

お世話になった。良く飲みに連れて行ってくれた。

だが、部長は1滴も酒を飲めない。

一時期、九州に帰っていると部長は名古屋から大型バイクで名古屋から実家まで遊びに来た。

時速200kmで走って来たと言っていた。

この人は、出来ない社員には厳しく接し、休日出勤をする僕や一部の社員には仏の様に優しかった。


ある日、ニュースを見ていると交通事故の内容が報じられていた。

そこに、見知った名前が。

部長だった。

高速道路でトラックと衝突して、全身を強く打ち亡くなったのだ。

その頃は、会社を辞めていたので葬式などの情報が無く、静かに自宅で合掌した。


あの元気な部長が、事故死とは。

人間何があるのか分からないのである。


36歳の時だった。

その頃は、先に社長も心臓麻痺で突然死したので、会社はお祓いをしたのだとか。

社長も良く飲ませてくれた。

職場の人間が亡くなるのはこれが初めてであった。

ありがとうございました。

部長。

あなたの優しく接して頂いた恩は忘れません。

あなたと、また、月刊サイエンスの内容の話しがしたい。反物質の話を。


安らかに。

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