第3話山野のばあちゃん

母方のばあちゃんで、山野のばあちゃんと呼んでいた。

住んでいる自治体が山野と言う場所なので、山野のばあちゃんなのだ。

子供の頃から、遊びに行くと必ずラーメンの出前を取ってくれた。

そのラーメン屋は未だに存在するが、とにかく美味しいのだ。

豚骨と鶏ガラのスープ。

また、必ずお小遣いをもらっていた。

近くに川があり、そこで良く魚釣りをしたもんだ。

そして、釣った魚を素揚げにして食べていた。

魚の水分で、油が跳ねるので軍手をして揚げていたら、ばあちゃんは笑っていた。

牛を飼っていたので、粉砕機で藁を機械で細かくしたり、畑の雑草を取っていた。

母方の親戚は楽しい人ばかりだ。

まだ、現役だが80代でも焼酎を鱈腹飲んで転んだ!アハハハと笑っている。

そのオジサンにもお世話になった。


ばあちゃんは長生きした。100歳まで生きると思っていますいたが、98歳で亡くなった。

「とし坊、とし坊」と、僕を呼んでいたあの声が忘れられない。

葬式の時は賑やかだった。

通夜の晩は、ばあちゃんが98歳だったから、皆んなで98杯焼酎を飲もうと言うことになった。

笑い声が絶えない。

大往生なので、悲しみを押し殺して笑っていた。

葬式の出棺の時は皆んな涙を流した。

あの面白いオジサンが、

「ばぁ〜ちゃ〜ん」と、言って婆ちゃんのおでこに頬を付けて泣いていた。

出棺が終わり、火葬が終わると宴会。

こんなに、楽しい葬式があるとは思いもしなかった。

ばあちゃんにもう一度呼んでもらいたい。

「とし坊」と。


ばあちゃん、ありがとうございました。

ホントの優しさを教えて頂きました。それは、今でも家庭生活、仕事で生かしております。


安らかに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る