第14話

朝日が心をドキドキさせながら、教室の片隅でその女の子を待っていた。周囲の友達が楽しそうにおしゃべりしている中、彼女の姿を見つけると、思わず緊張が高まる。


「おはよう」と女の子が声をかけると、朝日は笑顔で返す。「あのね、これを渡したくて…」


手の中に大事に握りしめていた貝殻のアクセサリーを差し出す。女の子の目が一瞬驚きに見開かれ、次第に柔らかい笑顔に変わる。「これ、すごく素敵だね。朝日が頑張って作ったんだ?」


朝日は少し照れくさくなりながらも、「うん、海で拾った貝殻で」と答える。彼女はアクセサリーを優しく手に取り、じっと眺める。「大切にするよ」と言って、その目は嬉しさで輝いていた。


その瞬間、朝日の胸が温かくなり、思わず微笑む。「ありがとう、喜んでもらえて良かった」と言い、彼の反応に少し安心する。


女の子はふと顔を赤らめ、「あ、手紙もありがとう。」と言う。彼女の心の中で、彼との距離が少し近づいたように感じた。


「うん、ただの感謝の手紙だけど…」と朝日が言うと、彼女は微笑みながら頷いた。


朝日もその言葉に嬉しくなり、少し顔が赤くなるのを感じた。二人の間には、少しずつ新しい空気が流れ始めているようだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る