第8話

期末テストが近づくと、朝日はますます焦りを感じていた。クラスメートたちが勉強を重ねていく中、自分はなかなか頭に入らず、特に数学のテストが心配だった。友達と一緒に放課後の教室で勉強していると、頭の中はごちゃごちゃしてきた。


「ねえ、モッカ!私、数学のこの問題が全然わからないの。教えてくれない?」朝日は思わず声を上げて頼む。モッカは彼女のペットとして、いつもそばにいてくれる特別な存在だから、頼りにするのも無理はない。


しかし、モッカは少し考えた後、ふわりと浮かんで、冷たい表情で答えた。「それは無理だよ。」


「なんで?お願い、教えてよ!」朝日はむくれてしまう。彼女の気持ちを察して、モッカも少し困った顔をするが、頑なだった。


「教えたらテストにならないから。」モッカは笑顔を浮かべつつも、どこか真剣な表情で続けた。


「なるほど…」と朝日は一瞬納得するが、次第に悔しさがこみ上げてきた。「でも、もう少し助けてよ!私、どうしたらいいかわからないんだから。」


モッカはその言葉を聞いて少し考え、心を決めたように言った。「じゃあ、ヒントをあげる。その問題の解き方は、こうだよ…」彼は自分なりに、朝日が理解できるように説明を始めた。


朝日はそのヒントを受けて、自分でも考える時間を持つことができた。彼女はモッカの言葉を思い出しながら、一つ一つ問題を解いていくうちに、少しずつ自信を取り戻していった。


その日の勉強が終わる頃には、朝日は心の中で感謝の気持ちを抱きつつ、モッカに向かって笑顔を見せた。「ありがとう、モッカ!あなたのおかげで少し理解できたかも。」


モッカは嬉しそうに浮かび上がり、「そうだろ?だから、テストも頑張ってね。」と励ます。


こうして、朝日は自分の力でテストに臨む決意を固め、心を整えて試験の日を迎える準備を整えたのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る