作戦会議

「ということで第1回作戦会議を始めます!」

 トガクシからもらったパンを片手に始まる会議。

 少々場の空気が重いのは遡ること数分前。

――

 飲み物を買いに行こうとする、逃げると勘違いされ引っ張られコケる、イセ現着&逃走、トガクシが確保、そして今。

 事故の発生理由を話して納得してもらったはずなんだが、イセは事故現場を目撃してから少々機嫌が悪い。

「それで会議は何を決めるんだ?」

「それはもひろんなふやすみn」

「食ってから話せ」

 こいつがもう少しだけ賢ければうまく……変わらないか。

「それはもちろん夏休みの計画を立てます!」

「計画も何もカケルとトガクシが核になるだろ、カケルがいないのにどう決めるんだよ」

 鼻で笑うトガクシを少しだけ殴りたくなった。

「だからイチノセくんがいるんじゃありませんか!」

「俺にもカケルの予定は変えられないぞ」

「なので調整をお願いします」

 ジト目で見返すも、状況変わらず。

「しょうがないじゃん、カワバくんと簡単に連絡取れるのイチノセしかいないし」

「まぁあいつも忙しいのは嫌いじゃないだろうしな、調整はどうとでもなるだろ」

 パン一つで腹が膨れるわけもなく、もう一つ頂こうとした頃にはパンは全滅だった。

 ないものはない諦めて話を続ける。

「トガクシはいいだろうけどイセさんは平気なのか?2人の予定を合わせるのは難しいぞ」

「私はたぶん平気だと思う、できる限り合わせられます」

「なら何をするかはそっちで決めてくれ俺は帰る」

 立ち上がってカバンを持つも借りる本を決めてない。

 適当に2冊……と思ったが、部活に通う頻度を考慮し1冊にした。

「じゃあパンごちそうさま、また連絡してくれ」

 部室の外は少し蒸し暑かった。

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