8月32日

 まずはスマホを確認。

 7月20日7時12分、確かに夏休みが始まったばかり。

「それにしても、初日のこんな早い時間に呼び出しなんてあるの?」

 ひとまずごまかす

「いや部活で、呼ばれてな」

「文芸部に朝からやることあるの?」

 確かに。

 納得してしまうと言うことがなくなる、会話は難しい。

「まぁ私はこれからが至福の時間なので邪魔されなければ言う事ないけどね」

「至福って寝るだけだろ」

 こんなのが学校では優等生なんて言われるのはきっと世界が間違ってる。

「わかってないねー24時間以上起きて限界まで活動して睡魔に身を委ねる、これ以上に睡眠を味わう方法は他に知らないね」

 妹さまの睡眠へのありがたい御高説を聞き流し、ひとまず朝食。

 しかし悲しい事に長期休暇中の朝食は自主的にとの事。

 いつもの朝食にありがたみを感じていたところに投擲物。

「わけたげる」

 10秒でエネルギーチャージ!毎度思うがこれを10秒はちときつい。

 そんなことを考えてる合間に感謝の一つでもと思った頃に妹はいなくなっていた。

「いただきます。」

 いなくなった妹に感謝しつつ自室に戻る。

 ベットに倒れ込み目を閉じる。

 確かに昨日は8月31日だった、夏休みに別れを告げながら寝たことを微かに覚えている。

 それでも今年の夏休みは怠惰であった。

 そう表現する他、思い出という思い出が湧いてこなかった。

 ……

 蒸し暑さに目を開けスマホを見ると10時30分、いつの間にか寝ていたようだった。

 すっかり温くなったゼリー飲料を流し込み、着替えた労力を無駄にしないため学園に向かった。

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