文芸部にようこそ!
「というわけで、文芸部にようこそ!」
教室の端、読書中の女子が一人。
眼の前にはよく知る女子が一人。
横には台風の目よろしく、カワバカケル幼少期から変わらない腐れ縁。
眼の前には打たれ強い、トガクシノアこちらは中学からの縁。
端の子は知らないで、説明できず。
「そんなわけで、自己紹介から始めましょうか」
そんな事言われても知らないのは端っこの彼女のみ。
視線を向けると読書は中断されていた。
「イセフミノです」
小動物のような見た目だがしっかりものそんな第一印象だった。
「イチノセユウ……よろしく」
見られている、それも物凄く。
猫に睨まれているような、居心地の悪さにカケルに視線を戻す。
「はいはい、今回は顔合わせもあるけどこれを書いて貰おうと思ってね」
差し出される入部届けには既に記入が終わっている。
「お前、人の字で勝手に書類を書くな、普通に文書偽造だぞ」
「ちゃんと“お前”の字になってるだろ?」
こいつは昔から無駄な一芸がある、手先が器用だったり、記憶力が良かったり。
全てにおいてこいつは優秀ではあるが、最優秀にはなれないそんな人種だったりもする。
「入部に変わりはないし別にいいだろ?提出は頼むよ」
カケルは生徒会があるからと早々にいなくなった。
台風は去った、しかし残るは晴天の清々しさはなくどちらかといえば。
「くもり……」
「普通に晴れてるけど?」
「いや……それより進展はあったか?」
部外者がいれどそれとなく聞くくらいは許されるだろう、あれからかれこれ1年近い。
「あれば報告してる……一様手伝ってもらってる身だしね」
会話は難しい、台風はどのように勢力を増しているのかさっぱりだ。
出来ないことは諦める、人生割り切りは大事だ。
そっかと気の利いたこと言えず、撤退準備。
「じゃあ、入部届けを提出して俺は帰るよ」
去り際に思う、カケルは生徒会と他部活のヘルプであいつも文芸部の幽霊だろう。
そうなると文芸部はトガクシとイセの実質2人の部活だ、それほど彼女らは仲がいいのだろうか。
まぁ良かろうが悪かろうが幽霊からしたらどうでもいいことだった。
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