第五話 手口
食事時間になってから、一時間たった。
私は30分で食べ終えたのに、「あまり食べれない子もいる」
という理由で、二時間食事の時間があった。
だから、私達は暇を持て余していた。
そんな時、先生が話し始めた。
「まだここでの詳しいルールは説明していなかったので、今から説明したいと思います。食事中の人も聞いてください。」
「まず、スマホやタブレットの利用時間ですが、一日四時間までです。」
よっ、四時間???普通は二時間とか、もっと短い気が、、、
「それってスマホやタブレットを使った勉強時間のことですか?」
そう誰かが質問した。
「もちろん勉強に使ってもいいですが、普通に動画を見たりしてもいいですよ。」
えっ!?みんな驚きを隠せていない様子だった。
「使いすぎもダメですが、逆に制限をしていたら、大人になったら今までの分で一気に使ってそれこそ悪影響を及ぼす可能性もあるかもしれませんしね。だから適度にしています。」
「他にも...」
先生は淡々と説明をしていった。
説明をしてから30分後、食事の時間が終わった。
「7時になったので、食事の時間を終わります。皆さん完食出来ましたか?」
そりゃあ二時間も食べてて逆に暇だったし、ほとんどの人が完食できていた。
「それでは、手を合わせてください!」
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
そうして、私達の一日目の食事が終わった。
寮に戻っていたら、一人の先生が私達の部屋にいた。
「あのぉ...」
「あ、驚かせてすみません。私、
ジェンダー支援員をやっています。何か、困ったことがあれば相談してください。一週間に一度各寮に来ていますので。気軽に赤崎と呼んでください。」
「あー分かりました。よろしくお願いします。」
「何か、困ったこととか相談したいこととかありませんか?」
「まー...今の所は特にないですね」
「分かりました。ではまた一週間後来ます。それでは。」
そう言って、彼女は寮を後にした。
何もやることが無かったため、先に歯磨きと入浴を済ませておいた。
何しようと考えていたら、アオイがこう言ってきた。
「え!?なんか急にスマホが暗くなったんだけど...?電源押しても開かない...」
「え?やばくない...?それって急に来た?」
「うん、Twitter見てたら急に来た。別に、今まで劣化の前兆とかそうゆうのあったわけじゃないし...」
「なんだろ、あ!もしかして、四時間スマホを使ったからじゃない?今日先生言ってたし」
「あーそうかも!私そういえばずっと来てからスマホ見てたわ!」
「いや、普通にもっとやることない?それはよしとして、どうやって四時間経ったら自動でスマホが消えるシステムにしたんだろう。」
「それ気になる!実はトランスジェンダー支援館は入るとそうゆう仕組みになるんだったり...?」
そんな時、晴瀬が帰ってきて私達にこう言った。
「それはないだろ。まあ、高技術の今の時代なら可能かもしれないけど。」
「ハルセ、どうやってこのシステムにしたのか分かるの?」
「俺の予想だけど、さっき晩飯を食べてた時に先生が部屋の点検に行っただろ?その時に俺達のスマホをいじってそうゆう規制を入れたんじゃないのか?」
「確かに―!そうじゃなきゃ、二時間も食事時間必要ないよね!」
「とりあえず、確認のため明日碧衣のスマホを貸りてもいいか?」
「いいけど...勝手に色々見ないでね!?」
「見るわけねぇだろ()会って一日もしてない相手のスマホなんかを」
「それもそっか!!じゃ暇になったんで私は寝るわ!」
「アオイー私ももう寝る!ハルセは寝なくていいの?」
「ああ、色々作業するにまだ寝ないでおく。ていうかそんな早く寝れんの?」
「別に寝れるよ!だって昼型だし!」
「昼型なんて聞いたことねえよ。」
「そりゃあ、私達のオリジナルの型だから!そんじゃおやすみ~!」
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『本日はお忙しい中、ありがとうございました!』
『お役に立てれば何よりです。』
『それにしても...本当に依頼料は要らないんですよね...?』
『はい。こちら側の都合で色々環境が変わってしまい、2年くらいはこの方針でいくつもりですね。こちら側の時間も減ってしまうため、前より依頼完了が遅くなると思うので、そこはお願いします。』
『分かりました。体調に気を付けてください。』
「今日の依頼は簡単だったな。多分、初心者クラッカーだろうな。」
「依頼も終わったことだし、今日は寝ることにしよう。先生にバレたら大変だもんな。」
一仕事を終え、彼は眠りにつくことにした。
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翌朝、朝の音楽と共に私達は目覚めた。
「アオイ、ハルセ、おはよー!」
「かほ!おはよ!」
「おはよう、そういえば、やっぱり碧衣のスマホに四時間経てばスマホが消える規制がついてたようだ」
「やっぱりそうなんだ、これから作戦会議しようと思ってたのに、これじゃあ困る..」
「作戦会議?」
「最初に聞いてたと思うけど、ここに来て情報収集したいんだよね。でもバレるかもしれないから、なるべくLINEでやりたいって思ってたんだ。」
「そうゆうことか。それで何のための情報収集なんだ?バレちゃダメって感じだけどな。」
「実は...この男女で分かれた世界が嫌で、ダメだって思ったんだ。だから、この世界を変えたいって思って、ここに来たんだ。」
「...そうか。はっきり言って、計画性がないお前達では無理がある。」
「ぐさっ」
「世界規模の問題を、中学生たった二人で解決出来るなんて大間違いだ。」
「それもそうだわ... できれば、協力してほしいんだけど...いい...?」
「まあ、情報収集くらいなら協力はできるな。」
「まじ!?なんか交換条件とかはなくて!?」
「別に必要ない。暇だし協力するだけだ。」
「暇?まさか、ハルセもトランスジェンダーじゃないって言うの?」
「そうだ。この場所がどうなのか気になってな。それで来たってわけだ。」
「お、親は受け入れてくれたの?」
「ああ。親は放任主義だったからな。普通にオッケー貰えたぞ。」
「そうなのね。じゃあ作戦会議する?」
「そうだな。時間はまだあるし。」
「あ、バレないようにLINEでしなきゃいけないんじゃない?」
「そういえばそうだったね、じゃあハルセ、連絡先交換しとこ」
「ああ」
そうして、アオイと晴瀬は連絡先を交換していた。
だけど...
「あれえ?おかしいな...」
そうアオイが呟いたことに気づいた私は一言言った。
「どした?」
「いや、いつもの操作してるんだけどなぜか交換できないんだよね」
「え?バグ?ちょっと見せて?」
そう言ってアオイのスマホを見たものの、エラー画面が出ているわけではない。
かといって、ボタンの色が少し変わったため、きちんと押ささっているのは確かだ。
「これも、先生の仕業なのかな?」
「そうだろうな。わざわざ規制を入れるくらいだし、対策としてそうしてるんだろ。」
「そうなんだ...どうにかして元通りに出来ればいいけど...」
「俺が戻しておくか?」
「え、戻せるの!?」
「まあな。俺はハッキングが出来るんだ。」
「ハッキング!?それってやばいやつなんじゃ...」
「全てのハッカーが悪い奴というわけではない。基本的に悪いハッカーは、ブラックハッカーかクラッカーと言うんだ。」
「そうなんだ。じゃあハルセは善良なハッカーってこと?」
「いや、良いこともしてるけど悪いこともしてるな。」
「勘違いしないでほしいんだが、俺がやっている仕事は、アカウントが乗っ取られたりハッキングされた人のを元通りにし、逆に乗っ取った奴を乗っ取るというやつだ。」
「うーん、半分合法...ってこと?ていうか仕事って言ってるけど...」
「仕事って言うか、自分でサイトを作って、乗っ取ったりしたやつに復讐する依頼とかを募集してるって感じだ。」
「そうなんだ。じゃ私とアオイのスマホよろしくー!」
「ああ。って、もう時間か。」
そうこうしている内に時間になりそうだったため、食堂に向かった。
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