第三話 転校
今日は、学校二日目だ。
みんなは落ち着きを取り戻して、普段通り授業に励んでいた。
そして、今日はアオイの方から話かけていた。
「かほ!」
「あ、アオイ、親に行ってもいいって言われた?」
「言われたよ!そうゆうかほは?」
「行ってもいいって」
「あー良かったじゃん!これで、一緒に行けるね!」
「うん!にしても、もうこの学校とはお別れだねー。数年間みんなとはお世話になったな...」
「そうだよね、あーもうせっかく一人で学校の場所覚えてばっかなのに!」
「でもさ、別にLINEで話せるし、必要な犠牲って思えば大丈夫でしょ!」
「ま、それもそうだね」
そして、私とアオイは
アオイが先に質問を受け、私は後から質問を受けた!
「受けてきたよ!すぐ終わったしそんな難しくはなかったよ!」
「んーじゃあ私にもできそうだね!アオイのおかげで一刻も早く世界を救えそう...!大袈裟だけどね!」
「米内山 香穂様 順番が来ましたので、診療室に来てください。お母様もご一緒に来てください」
「分かりました。」
いよいよ私の番だ。これが終われば、私はこの町とはお別れなんだ。
ガラッ
「こんにちは。本日は、トランスジェンダー支援館に行くための質問をします。」
「はい。」
「難しい質問はしないので、楽にしててもいいですよ。」
「分かりました。」
担当の医師は優しそうな雰囲気だった。
「まず、生年月日、年齢を教えて下さい。」
「令和11年、9月30日、13歳です。」
「はい。次に、自分がトランスジェンダーで、困った経験はありますか。」
「うーん。困ったって言うか思ったことなんですけど、なんで性別で並ぶんですかねって、思いました。今は思うこともなくなりましたが。」
「分かりました。あとは.... はい。はい。」
「えーこれで質問は終わりです。最後にお母様と話をするので、待合室でお待ちください。」
「分かりました。」
待合室に戻った。アオイが待っていた。
「あ、おかえりー!どうだった?」
「いや別に特に思ったことはないかなー。半分噓吐いたし。」
「まあそれもそうだよね。」
「そうだ、隠語を作っとかない?」
「隠語ってあの隠語?」
「そう!あの隠語!」
「まー、いいけど何に使うの?」
「そんなの、トランスジェンダー支援館に行ったときの会話に決まってる!」
「確かに話し合いするときにバレたら大変だしね...」
「じゃ決めよ!種類をバラバラにしてると違和感あるし、何か一つの種類にしよ!」
「うん!そうだな... あ!私達を料理好きって設定にして、料理とか食べ物のことにすればいいんじゃない?」
「いいね!「調理」を実行、「炒める」を観察とかは?」
「いいじゃん!他には...」
そんな風に会話をしていたら、アオイと私のお母さんが帰ってきた。
「香織。話も終わったし行くわよー」
「はーい」
「今日はありがとうございました。」
「いえいえ。お子さんがちゃんと行けることを願っています。それでは。」
後日
ガラッ
先生が神妙な顔つきをして教室に入ってきた。
それもそのはず
「今日は、皆に大事なお知らせがあります。しっかり聞いてください。」
「4月26日をもって、米内山 香織さんと、田岸 碧衣さんが、転校します。」
「えええ!?」「どこ行くのー!?」「なんでなんでー?」
「そこ、静かに。香織さんと碧衣さんも、何かお願いします。」
「はい。私はこの学校で勉強できて、みんなと遊べて、良い思い出でした。」
「小学校時代からの友達もいると思います。」
「でも、私は転校しなければいけません。これは一年くらい前から決まっていました。残りの3週間、最高の思い出をみんなで作ろう!!!」
「はい。次に碧衣さんお願いします。」
「はい。私は前にいた西日本の会社の近くに引っ越すことになりました。」
「私はまだ来たばかりで慣れないことばっかりでしたが、みんなが優しくしてくれて、勉強を受けさせてくれて、最高でした!」
「まだ3週間あるので、沢山思い出を作ろうね!!!」
「二人ともありがとうございます。残りの3週間、頑張りましょう。」
今日は 説明会の日、つまり4月18日だ。
説明会場についた。私は13歳だったから、福井県の施設で説明会を受ける。
「ここで... あってるね」
そうして会場に入った。沢山の人がいた。
「あ!かほだ」
アオイは既に来ていたみたいだ。
数分後、人が集まって来たので、説明を始めた。
「本日は、集まっていただきありがとうございます。」
「本日は、11歳から18歳までのトランスジェンダーの方が入る施設について説明をします。」
「まず、施設内には勉強部屋、食堂、遊び部屋などの場所があります。」
「そして、施設内では5人くらいのグループを作り、寮に入ります。」
「グループは基本ランダムで決めますが、どうしてもこの人と組みたいとなら、それは良いとします。」
「寮では自分の荷物を置く場所や、自分のベットがあります。」
「基本的には施設内にいますが、三日に一度だけ福井県内で外出することができます。」
「施設内にいるのもいいですが、自立できるようにするため、一か月に一回は外出してください。」
「施設内では、性別を教え合いません。」
「施設内では、基本的に施設での服を着て過ごします。」
「他にも...」
話は一時間くらい続いた。
「これで、本日の説明会は終わりです。」
「実際にトランスジェンダー支援館に行くのは4月27日ですので、準備をしておいてください。」
「それでは、あちらからお帰り下さい。」
そうして、私達は今日の説明会を終えた。
4月27日。中学校最後の日。
普段通り授業を受けて、いつもより多く皆と話した。
そして、帰る時刻。
「私は遠いところに行っちゃうけど、連絡は取れると思う!」
「うん!」「新しい学校でのことも聞かせてね!」「絶対だよ!」
そうして、私は家に帰った。
帰ってきてそうそう、母が聞いてきた。
「スマホ持って行った?友達と最後の言葉言った?今からでも間に合うわよ」
「もー、連絡は取れるから大丈夫だよー」
「あら、そう。」
「...どれくらいここにいるつもりなの...?」
「まあ、味方集めて情報収集できたら帰ってこよっかな。最低でも1年はいると思うけど。」
「分かったわ。頑張ってきてね。」
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