第二話 偽り
全校集会が終わって、教室に行った。休み時間になった。
普通は、転校生が来たらその話題になると思うけど、そうゆう気分じゃないのか、特別だと思ってないのか、あまり転校生に話しかけていたり教室などを案内している人はいなかった。
そうだ、あの子に声をかけてみよう。
「あの、もしかしてLINEの「aio」って名前の子?私はかほって言う名前だけど...」
そしたら彼女が、
「えっ!?かほちゃん!?うわーここの学校なんだね!私はaioだよ!アオイって呼んでね!」
「おっけー!にしても、地味に良いこともあるんだなあ。」
「そうだね!もうすぐ授業始まるから、またね!あと、色々話したいことあるから、放課後に人気がない理科準備室に行って話そう!」
「分かった!じゃあね!」
そうして、ひと段落を終え、放課後になった。
もちろん授業なんてあまり頭に入ってこなかった。
「来たよ!それで、話って何?」
「ありがとー!それはさ、この世界を東西で男女で分けるって、極端すぎない?」
「確かに...もっといい方法あるはずだよね...ていうか話ってそれだけ?」
「いや、他にもあるよ でも、普通に教室とかで話すのもバレたらヤバいし、LINEだって規制厳しくなってるから、誰にも見られてないここの方がいいかなって」
「そゆことね」
「うん。なんか、ショックで自殺する人も増えてるっぽいし、本末転倒だよね...」
「確かにね。」
「やっぱり、この世界が変わってほしい、いや、変えたいって思うでしょ?」
「まあ、ね。でも、変えれないでしょ?」
「変えれないじゃなくて、変えるんだよ!ウチらが!!!」
「もう、冗談はよしてよ~。第一選挙に投票できやしない子供の私達が世の中を変えるなんて、不可能でしょ?それに、これは世界レベルことだし。」
「少なくとも今私達だけで変えるのは無理でしょうね。だから、取り合えず調査しない?」
「調査って、どうやって?」
「それは、「トランスジェンダー支援館」に行くのだ!!!」
「トランスジェンダー支援館?なにそれおいしいの?」
「トランスジェンダー支援館とは、自分の生まれ持った性別と自分の思う性別が一致していない、通称「トランスジェンダー」の人達を、その人達が「この男女で分かれた世界でも暮らせそう」と思うまで、ここで引き取っておく施設のことである!」
「施設は、福井県、滋賀県、三重県の三か所にあるが、その3つの県によっても引き取られる人が違う。」
「1. 大人のトランスジェンダーは、滋賀県に引き取られる。」
「2. 18歳~11歳までのトランスジェンダーは、福井県に引き取られる。」
「3. ~10歳までのトランスジェンダーは、三重県に引き取られる。」
「なるほど。つまり中学生である私は、福井県に引き取られるってことか。」
「そう!ネットに書いてあったけどね!」
「んで、あっちの方で仲間集めるってわけ。」
「なるほど!いいじゃん、それ!」
「もう帰る時間だし、情報集めてくるわ!ばいばい!」
ガチャ
「ただいまー」
お母さんが出迎えてくれた。今日は珍しく姉の結衣が私より早く帰ってきてる。
いや、私が遅かっただけか。
「あら、おかえり。今日の新学期はどうだった?」
「色々変わってたけど、新しい友達もできたし、楽しかったよー」
「あら、それは良かったわね。そういえば、今日は帰るの遅かったけど、どうしたの?」
「いや、部活を見てただけだよー」
「あら、そう。今日は疲れただろうし、家でゆっくり休みなさい。」
「はーい」
家に帰って早々、私は自分のスマホで、トランスジェンダー支援館について調べてみた。
すると、分かったことがあった。
どうやら、トランスジェンダー支援館に入るのには少々面倒らしい。
まず、入るためには病院に行かなきゃならない。医師に色々質問をされるらしい。
その後、脳内を探って本当にトランスジェンダーかどうかを確認する装置を頭に付けなきゃいけない。
そう、つまり私達のトランスジェンダーの噓がバレてしまうということだ。
最近はトランスジェンダーを偽る人も出ているらしいから、この装置を必ずつけなければならない。
ただし、一つだけ不幸中の幸いとなることがあって、この装置が実際に使われるようになるのは、一か月後からだということだ。
どうしてかというと、この装置は最新技術で作ったらしくて、値段も1億円と高い。だから、個数が少ないんだとか。だから、装置が輸入されるまでは、嘘がバレることはない。
その後に、私の場合は福井県にある施設で、説明会を受ける。一か月ごとに説明会が行われ、今回の場合、二週間後に説明会が行われる。そうすれば、無事入ることが出来る。
つまり、トランスジェンダー支援館に入るためには、明日か明後日くらいには応募して、一週間後に病院へ行き、2
アオイにも教えなきゃいけないから、LINEでアオイに連絡を久々に取った。
「アオイいる?出来れば今すぐ話したいんだけど」
「いるよ!どうしたの?」
「トランスジェンダー支援館のことについて調べたんだけど、早めに入らなきゃいけないらしくて...」
「知ってるよ!明日かほに言おうとしてた!」
「良かった!今すぐ親に言った方がいいよね...アオイは言った?」
「言ったよ!明日までに考えるらしい」
「そっかあ 私も言ってこよ じゃあね」
その夜。私は姉の
「あのさ、私、友達と一緒に世界救いたい。」
「世界を救う...?」
「世界が男女で分断されたでしょ?だから、その制度を無くしたい。」
「あ~、それなら...」
「ちょっと!私はちゃんと考えてるから!相談したいのはそうゆうのじゃなくて!」
「あーごめんごめん。また早まっちゃった。」
「...それでさ、私はトランスジェンダー支援館ってとこに行きたいんだ。でも、これが嘘だってバレて行けないかもしれないんだ...だから、どうすればいい?」
「あー... じゃあさ、私もお願いするし、言ってみればいいんじゃない?」
「うーん...分かった」
「ねーお母さん、ちょっと話があるんだけど」
「いいけど、話って何かしら?」
「あのさ、トランスジェンダー支援館ってところに行きたいんだけど...」
「トランスジェンダー支援館?それちょっと調べるから待ってて」
「うん、うん、全てのトランスジェンダーの人を受け入れ、擁護する施設...か」
「...要するに、トランスジェンダーを引き取る施設ね。」
「香織、自分がトランスジェンダーって言いたいの?」
「今までそんな素振りは見せてなかったわよね?お母さんは本当にトランスジェンダーのようには見えないんだけど...」
「お願い、正直に言ってほしい。本当にトランスジェンダーなら、ちゃんと受けされてあげるから。」
「やっぱバレちゃったよね、あはは、私はトランスジェンダーなわけない。」
「あのね、お母さんは嘘を吐いてまで行ってほしくないの。お父さんだって、私達が平和なら連れていかれてもいいって言ってたから...お願い。」
「...」
「お母さん」
「結衣、いつの間に」
「香織はさ、どうしてもこの世界が嫌なんだよ。色々制限されるし、恋愛だって出来ないんだよ。お母さんが一番わかるでしょ?」
「それに、あの香織ならちゃんと出来るよ。あの前まではあんなに元気だったでしょ?」
「そうだよ!一応連絡だって取れるし...」
「だから、姉として香織に行かせてほしい。私達の思いを背負わせて」
「...分かったわ。ちゃんと帰って来れる保証があるなら、行ってもいい。」
「え、いいの?じゃあ応募...しておいてね」
今日はもう遅かったため、課題を終わらせて眠りについた。
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