東西に分断された世界で、禁断の青春が始まる
高志保 しほ
第一話 崩壊
「...今日は、世界が男女別で分断されてからちょうど1か月です。」
「世間からは不満の声が相次いでいて、自殺する人も現れています。」
ピッ
私はテレビの電源を切った。
「今日もこのニュースか、もう聞き飽きたな。」
「しょうがないでしょ、他人事ですらないし。」
ちょうど一か月前、私達の生活が一変する出来事が起こった。
それは、
世界が男女別で分かれたことだ。
なぜこんなことが起きたというと、
一年前、Xのフォロワー5000万人越えの日本とアメリカのハーフの方が、こうゆう投稿をした。
「日本は性犯罪に甘すぎる。もっと厳しくするべきだ。」
「デモを起こさない限りは改善されなさそうだ。」
後の方のツイートは、ブラックジョークだと後に本人が言っていたが、このツイートは大注目を浴び、なんと日本でデモが起こってしまった。
これは世界中で話題になり、日本政府も対応をとった。
「日本では、性犯罪に正しい処罰をして、二度と繰り返されないようにします。」
とのこと。
しかし、性犯罪に厳しいアメリカ政府は、
「日本という国でデモが起こるのは非常に珍しいことだ。世界的で何か対処をとったほうがいいのでは。」とのこと。
そして、半年後にG7緊急首脳会合が行われることになった。
会議の内容は、
世界が東西で男女別に分かれるかもしれない
だそうだ。
世間が一時大パニックに陥った。今のうちに告白しとけとか、今のうちに家族に感謝伝え解けとか、そうゆう風なこともネットで言われていた。
そして、ついにその時が来てしまった。
私の家族の場合、お父さんがいなくなってしまった。
西日本には男性、東日本には女性が来ることになっている。
今まで円満にやってて、家族旅行も計画していたのに。
もちろん、現実世界だけではない。ネットの世界だってそうだ。
女の人は、男の人と会話はできない。
男の人も、女の人の動画すら見れない。
それどころか、IPアドレス位置情報によって、女や男を選択する画面がなくなって、性別を偽ることすらできない。
そして、20XX年。3月26日。私お父さんがいなくなった日。
「もう、行っちゃうんだね ここに残ることは...できないよね」
「ああ。物理的に、無理だ...やったとしても政府にバレて強制的に連れていかれてしまう。」
「監視...されてるのかな...だとしたら、怖い。」
「大丈夫だ。余計なことをしなければ、平和に過ごしていけると思う。」
「平和どころじゃないよ...」
「でも、お父さんは家族の平和第一を考えてるんだ。だから、ごめんな」
「そんな、謝らないでよ。悪いのは、そんな歪なことを考えた政府が悪いんだ。」
「そうか。...もうすぐ時間だな。」
「香織、結衣、そして、梓。今までありがとう。」
「うん。お父さんこそ、ありがとうね。これからは、3人で頑張って過ごしていくから。」
「ああ。お前らならできるって、信じてるから。じゃあ、またね」
「うん!ばいばい!また、いつか会える日が来るって、信じてるから!」
そうして、私はお父さんがいなくなった後、10分くらい手を振り続けた。
お父さんを悲しませないように、明るくしてきた。でも、本当は言葉に出来ないくらい悲しかった。ずっと、そのことについて考えてた。
お父さんがいなくなってから、気まずい空気が続いた。そうしたなか、ニュースが目に入った。
「たった今、東日本にいる男性が西日本に移動し始めました。これが、最後の男性の光景です。今後一回、私達女性は男性と関わる機会がないでしょう。」
やっぱり、これは現実なんだ。この光景は、異常なのかな。
そして、一件の通知がLINEに届いた。
「かほ、今いる?ついに男性が東日本からいなくなっちゃったね」
「うん」
「でさ、私西日本に住んでるって言ってたじゃん?」
「そうだね」
「女性は全員東日本に行かなきゃいけないから、今私達の
「うん」
「でさ、前かほは栃木に住んでるって言ってたじゃん?」
「うん それで?」
「私さ、栃木の学校に行くことになったんよね。どこに行くかは言えないけど、新学期、眼鏡で短茶髪の人が転校してきたら私だと思ってね」
「おっけー」
そう返した。いつもなら「えー!?嘘でしょ!?やったー!一緒になれるといいねー!」とか返すと思うけど、今日はそんな気分になれるわけがなかった。
4月6日。新学期当日。当たり前だかこの学校は女子中になった。
クラスの話題は、当然男女で世界が分かれたことだった。
そして、西日本から来た転校生が数十人来た。
「私の名前は...」
次々と自己紹介をしていく中、最後の人となった。
そして、私は最後の子が目に入った。
「初めまして。私の名前は
この子は、
この子は、眼鏡をかけていて、髪型はショートで、茶髪だった。
しかも、昨日LINEで会話した子の名前と同じだった。
世界が男女別で分かれたことで、校則ももちろん変わった。
全校集会が開かれ、校長先生が説明していく。
「本校は、一部校則が変更されます。」
「今までは、校内でのスマホは持ち込み可能でしたが、怪しい話が出てくるかもしれないので、スマホの持ち込みを禁止します。」
えー!?と声が上がった。
「なにそれ!?休み時間めっちゃ暇なるやん!」
「今まで授業中にスマホ見るスリルが楽しかったのに、使えなくなるとか、最悪や!」
「世間では混乱が相次いでいますが、これらの校則、また、今までと変わらない校則を守っていきましょう。以上です。」
校長先生が話を終えた。そして、全校集会が終わり、みんなは教室に帰っていった。
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