第3話 そもそも、使いもしない筋肉をつける必要があるのか

  組み打ちのための筋トレなら相撲の方が効果があるように思えるし、パンチを重くするならサンドバッグでは、と思うのですが。

  まあ、初段を取るのに5回かかった私ですから、偉そうなことは言えませんが、因みに、各界の著名人はこうおっしゃっております。

 

○  宮本武蔵は「強みの太刀」を嫌いました(「五輪書」「風の巻」)

  剣とは「場と間合いとタイミング」によって効果的に使用するもので、力任せに振るものではない、と。

50年前の大学日本拳法でも、ピラニア軍団と呼ばれた日大勢にはパワー拳法ばかりでしたが、中央や立教の選手は、まさに「場と間合いとタイミング」で綺麗に一本を取る人が多かった。 2022年の府立(全日)決勝戦、中大の次鋒が見せた「抜き胴」「抜き面」(と私が呼んでいる)のような、静かなる一本です。

確かに、練習が終わってからの筋トレとは、更なる充実感があるかもしれません

私は、大学に復学してから3ヶ月間は、早く皆に追いつくために練習後、サンドバッグを突いていました。当時、我が日本拳法部は剣道場を借りていたので、サンドバッグはその都度、コンクリートの柱に打ち付けた鋲に引っかけて吊していました。ですから、一発一発が、足のつま先からアキレス腱・踝・膝・関節・輿・肩・腕・拳を使う全身運動になりました。(天井からぶら下げるタイプのサンドバッグとは、ボクシングには向いていますが、日本拳法の場合は打ち辛い、と私は思うのですが。)

ベンチプレスのような、腕だけしか使わない筋トレというのは、筋肉がつくのも早いかもしれませんが、その筋肉が弛緩(ゆるむ)のも速いのではないのだろうか。

ボディビルダ-は、練習を止めるとすぐデブになる、と聞きましたが。

○ イチローの言葉

プロ野球選手イチロー氏は特別な筋トレをしない。

彼が言うには「ライオンでもチーターでも、獲物を獲るに必要な筋肉があればよい。必要以上の筋肉は要らない。」と。

大リーグでは、カンセイコーのように馬力でかっ飛ばす選手が多いし、また、観客もそれを喜ぶ傾向にある。何しろ、見世物なんですから。

しかし、イチローはパワー野球ではなく「イチロー流の野球」で、観客を楽しませてくれました。

米映画「マネーボール」で、空港で娘の到着を待つ主人公がテレビに映るイチロー選手に見入る、という場面があります。

「セイバーメトリクス」という大リーグにおける新しい野球手法、その理想(の一つ)はイチローにあったのではないか。セイバーメトリクスで「盗塁はするな」という教えは、統計学上からそう言っているだけでしょう。

2024年9月20日

V.1.1

平栗雅人

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解き、また結ぶ V.1.1 @MasatoHiraguri

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