第18話 ラストスパート
実のところ異界へ通じるゲートホールは、最後の五つ目の国、モシャマスにある。ここはゲートホールの空間への影響から辺りに不可思議な現象を起こしている。
ここではあらゆる事象が因果関係を失い、変幻自在に変化していた。
学生『ね~え、今日帰りにうち寄ってこうよ~』
ディアーク『いいよ~、私も暇だし』
ディアーク『あ~でもその前に、買い物に…』ハッ
ディアーク『(私は何をしている?どうやらここは見る者の意識すら影響を及ぼすようだ)』
ディアーク『消え失せろッ!ファイアッ!』ボオオオ
学生『あちちちち!燃えちゃった』
炎『あ~あ、炭素酸酸素炭素、炭素酸酸素炭素』
ディアーク『くそっ!頭がおかしくなる…』
ディアーク『……。』
『……。』『……。』
ディアーク『……お母さん?お父さん?』
──
アルスル『えーこの度は誠に申し訳なく思い・・・すまなく思い・・・ごめんと思い・・・』
カメラ『ごめんで済んだら警察はいらねんだよ!』
フラッシュ『土下座!土下座!』
マイク『おら!髪か指切れや!』
アルスル『ふん!てめぇが切れや!』ズバッ
アルスルはこのために新加護で鍛えていたので精神攻撃が効かなかった。
アルスル『空間がめちゃくちゃ。こりゃ合流は無理だな。一人でも行こう…ん?』
ミスティルエル『ああ…アルスル?アルスルなの!?』
アルスル『母さん!やはりここにいたんだね!そう!僕がアル・・・』
元僧侶『ああ!母さん!そう、私が勇者アルスルだよ!』
アルスル『は?』
ミスティルエル『ああ私のアルスル!こんな立派で逞しい勇者に育って…』
元僧侶『ああ、魔王も討ってきた』
アルスル『ちょいちょーい!!!何やってんの二人共!!!母さんも精神やられとるよー!!!』
ミスティルエル『やかましい!アルスルはそんなキモいオタクじゃない!!勇者も辞めてないし魔王も討つんだから!!!!!』バキィッ
元僧侶『そうだ!何のために母は私を厳しく育てたと思ってる!!偽物の勇者アルスルは消えてしまえ!!』ドガッ
アルスル『えー、さすがに心が痛いので先行きます。』
スタスタ
ゲートホール『よう。』
アルスル『おっ、着いた』
ゲートホール『ここに辿り着いたのはお前が初めてだ。皆途中で迷子になるからな。』
アルスル『なんかみんな願望を映されてない?』
ゲートホール『いや、どちらかというと何千通りの幻惑の中で一番良いのに引っ掛かってるって感じだ』
アルスル『彼らは永遠にあのままなのか?』
ゲートホール『いずれ覚める。飽きるかして自分からな』
ゲートホール『彼らは幻想に幻想を抱けなくなるというわけさ。』
アルスル『じゃあいいか…通りますよー?』
ゲートホール『おっと待ちな!この先は異界…魔王の住処だ。装備や体調や覚悟の準備はいいのかい?』
アルスル『もう日記に行くって書いちゃったから行くわ!』
アルスルは一人、異界へ旅立った。魔王との最終決戦が待っている…。
続く
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