第9話 魔王の正体2

魔王は世界を思うがままにできた。


そんな中で魔王が得意なのは、世界の物事に意味を無くす事だった。何故なら彼自身が物事に意味は無いと考えており、享楽に耽るだけの者だったからだ。


魔王は世界の全てを手にしていながら、その全てに興味が無かった。


アン「おい!何か下らない事書いてんじゃねーだろうな!?」


薔薇「いいから座って大人しくしてなさい!!」


アン「はい」


もちろん、魔王も無から生まれたわけではない。彼には良い父と母がいたが、魔王が育つ前に死んでしまった。


魔王に残されたのは優しい温もりの跡だけになり、彼の実感は亡骸を愛するための思い出だけになってしまった。


魔王は時間を失ってしまったのだ。


魔王は勇者アルスルを作った。自分を殺すための存在である。


如何なる者も自らの死を運命づける事は無い。魔王が望んだのは夢に殺される──夢に殉ずる事である。


魔王は…玉座で待っている。勇者アルスルが自分の前に訪れる、その時を。


薔薇「さあ、どうぞ」スッつ玉座


アン「なに死ぬルート作っちゃってんの?」


薔薇「何か?」


アン「スッ玉座じゃ無いんだよ。なに人を魔王にしようとしてんの。しかもなんかめっちゃ可哀想な人みたいに書いてなかった?」


薔薇「でもそういう話でしょ?」


アン「あほか!誰だよ陰鬱なのは嫌だとか言ってた奴は!おめーが一番鬱々してんだよ!」


薔薇「もう書けねぇとか言う奴に言われたくないね!この三~四流が!物書きじゃねーぞ、人間としてだからな!?」


アン「一度面白いって言われて案が通されたからっていい気になってんだろ?ラスボスで死ぬルートは絶対無しだ!後で改訂する!死ぬ身にもなってみやがれ!」


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る