第4話 ミッション遂行

アルスルと魔法使いは牢屋に入れられていた。


アン「さて、ここから二つのミッションを課したいと思う。」


薔薇「はい」


アン「まず一つ目、アルスルと魔法使いの絆が深まる事。互いを見捨てられない友達くらいには。」


アン「二つ目はボスとの戦い。やはり派手な戦いは避けられない。それに直接的な命のやり取りは成長や本能なんかの色んな面を描ける。」


薔薇「…」(もっと他に課すべき所があるんじゃないか?)


アン「馬鹿め!ここじゃ心の声も駄々漏れだ!」


アルスル『ううっ、村から出てすぐにこんな犯罪者のようになるなんて…皆に顔向けできない』


アン「おいっ!加護忘れてんぞ!」パァッ


アルスル(加護)『やれやれだぜ。さっ、次はここを何とかして出る方法を考えなくちゃだな。』イフウドゥドゥゥゥゥ


魔法使い『ええ、アレキサンダー様…何の事を言ってるか分からなかったけど、こんな事は初めてだわ。嫌な予感がする』


アン「さあ!協力せい!協力せいーーー!あわよくばウフフな展開になれ」


アルスルは16年間築いてきた戦闘技術を見せた。牢屋の檻が見事に破壊され二人は脱出した。魔法使いは魔法を駆使し見張りの兵士達の目眩ましをした。エースなんでね。


アン「うーん…何か違う…」


薔薇「協力するには優秀すぎたね」


魔法使い『待って!このまま逃げてもいいけど、アレキサンダー様の言葉が気がかりだわ。一度会っておきたい!』


アルスル『ふっ、しょうがねぇな。飛ばすぜオラァ!』バオオオン


薔薇「補正変なとこに効いてない?」


二人は玉座の間に赴き、国王アレキサンダーと相見えた。アレキサンダーは驚いた様子は見せなかった。


アレキサンダー『流石は研究所のエースといったところか。』


魔法使い『アレキサンダー様!アルスルが何をしたと言うのです!?』


アレキサンダー『ふん…。』


アレキサンダー『お前には…其奴の不気味さが見えぬのか?』


アルスル『ん…?』


薔薇「何…?」


アン「え?」


アレキサンダー『私には見える。アルスルの身体には魔法とも科学とも言い難い超常的な力が働いていると。これは解明せずにはおられん!』


薔薇「主人公補正の事では?」


アン「くそっ、もっと馬鹿に設定すべきだった…学術都市の王なんかにしたから…」


魔法使い『なるほど…?確かによく見れば何やらオーラが』


アン「やばいやばい!話が変な方に逸れる!馬鹿になれ!アレキサンダーッ!!」ビビビ


アレキサンダー『うっ!?ぐああああああ』ビビビ


アルスル『何だ!?』


兵士達『王!?』


アレキサンダー(馬鹿)『あーひゃひゃひゃ!!どうしたお前ら?俺は王だぞ!!図が高い!打ち首にされたいか!?』


魔法使い『……これは』


アルスル『……』


薔薇「もっと不味い事になってない?」


アレキサンダー『ふん!俺が直々に刑を執行してやろう!くらえ!裁きの雷!!』


ズドドドドオッ!!!!!


兵士達『うわああああ!!王様あああ』グシャッ


魔法使い『アレキサンダー…これはあなたに直接教えられた魔法です』


魔法使い『“霊光よ…我が腕の下で其の名に審判を下さん”!!』


魔法使い『“ミスティックロッド”!!!』カッ


魔法使いの手の中に光輝く杖が現れ、杖から無数の光の球が放たれる。球は起爆し、辺りは灰塵に帰した。


キュイイイイイン

ボガガガガガガガガガガガ!!!!!


薔薇「なんか凄い技出た……」


アン「ま、まあ良しとしよう」


アルスルと魔法使いは更なる旅に出た。王アレキサンダーを狂わせた謎の力を追い、明かさんとするために。


薔薇「ほんとにラスボスみたくなってるじゃないか!!」


アン「待て、我万能神なり。これも些事よ」


そう、魔王…魔王は異界から人間に支配を及ぼしている。この事件もきっと黒幕は魔王に違いない。アルスルと魔法使いはより固く決意した。打倒魔王。


魔法使い『私にも…あなたと同じ旅をする理由がある』


アルスル『ああ、共に行こう。』


アン「ふぅ、ミッションは達成できたんじゃないか?」


薔薇「ぜったい全然違うでしょ」


アン「…………」


アンは己の非力を嘆きながら机に突っ伏した… 続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る