第3話 第一ヵ国目

勇者アルスルと魔法使いは徒歩の末、国に辿り着こうとしていた。


薔薇「国かー。壮大になりそうというか世界観が大きく掘られそうだね。で、何か考えが?」


アン「はは、考えが無いわけではないが、何も考えてない」


薔薇「どういう意味?」


アン「時に、薔薇様。この第一ヵ国目というのは重要だと思わないかね?」


薔薇「何で?」


アン「まあ様々な形によるが、この国という枠組みの中で話が大きく取られ、それが一つの章になると思う」


アン「章になると長く語られ、色んな面を見せて最後には良い感じの区切りがつく。これで一つ満足を得ると共に評価が下される、それが次の期待に繋がる。」


アン「この期待が大きいか小さいかで、結局読む集中力が変わってその後の面白さに直結すると思うんだよ。」


薔薇「はあ」


アン「分かる?」


薔薇「いや全然」


どうやらアンの話に満足を得られなかったようで、全く理解する気が無かった薔薇様は置いておいて…


アルスルと魔法使いは国、アレキサンダー学園都市に到着した。


薔薇「なんて?」


アン「前回、魔法使いが国立魔法研究所とか言ってただろ?だから学術っぽくて良いじゃないか」


アレキサンダーとは現国王、アレキサンダー様の事である。彼は一代にしてこの学園都市を築いた男だ。


薔薇「雷の魔法とか使いそう」


アン「喧嘩売ってんのか?」


薔薇「売ってねぇよ」


アルスル『ここも魔物の脅威に悩まされてるのか?』


魔法使い『うん。やっぱり魔法とか科学も万能じゃないっていうか…上手く使えたもんじゃないからね』


薔薇「科学も…あるんすか?」


アン「ないと困るだろう?エアコンとか。私達にも。」


薔薇「魔法でやればいいじゃない」


アン「……確かに」


だがこの過程において消しゴムを使う事は禁じられている。学園都市に踏み込んだ二人に待ち受けていたのは──


ガシャン!!!


兵士『貴様何者だ!不法入国で逮捕する!』


アルスル『えぇぇぇーーーっ!!??』


アン「あぁーーーっはっはっは!!ヒーッ」


薔薇「何が面白いんだ…」


魔法使い『え?私は…私は別に捕まらないよね?』


『魔法使い、貴様も牢屋に入ってもらおう』


魔法使い『何っ!この声は…』


アレキサンダー『“勇者アルスル”、だったか?こいつこそ世を乱す者よ。このまま放ってはおけんのでな』


アレキサンダー『魔法使い、お前は既にその片鱗を受けておる。有無は言わせんぞ』


薔薇「不法入国じゃなさそうだけど」


アルスル『ちくしょぅっ!なんだってんだ…!』


アルスル、牢屋行き…! 続く


薔薇「えぇ…?」

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