第2話 仲間登場

勇者アルスルは旅立てたが彼は一人だ。その様子をどう表したものか?


アン「やっぱり一人じゃ人間というのは成立しない、薔薇様がいるのもそういう理由だ」


薔薇「きたきた!仲間加入…この時が一番良いんだから!」


さっさと出会って欲しいので、道すがらある魔法使いと遭遇したことにした。この魔法使いは先祖代々の魔術を極めかけ、国立魔法研究所のエースとして活躍していた者である。


薔薇「なんでそんな奴が道端にいるんだ」


実は彼女(魔法使いは女。勇者戦士は男で魔法使い僧侶は女、これが一番バランスがよい!)

は研究所を追放されていた。なぜなら禁忌の術を研究していたからである。しかし彼女はめげない。人々が触れない場所にこそ真実があると信じているからだ。


薔薇「禁忌の術とは一体?」


禁忌の術とは魔物を使役する魔法である。これを使えば、力強く特殊な技を持つ魔物を人間のしもべにして便利な事が可能だ。


薔薇「へー例えば?」


アン「お前ちょっと黙れよ」


魔法使い『私は魔法使い!実は今仕事無しの孤立無援でねぇ。あんたの旅に加えてくれないかい?勇者さん』


アルスル『ああ、もちろん良いとも!君の名前は?』


魔法使い『ありがとう!私は【アン「えーっと、名前は重要なんだよ…こんな早期段階に決められないよ!保留で!保留!」】だよ!』


薔薇「お前のそれは何なの?タイトルも決めてねぇじゃん。物書きってこういうもんじゃないだろ」


アン「ふん、天才は凡人の考えを理解できないもんだ。あっ逆」


アン「名前っていうのはそいつの全てを表せるもんじゃないと駄目だ!それが美というものだ」


薔薇「じゃあ行き当たりばったりで作るなよ…」


保留使い『おやっ、魔物が現れたね。任してよ!私の使役魔法で──』


魔法使いは突如現れたスライム状の魔物を魔法で支配下に置いた。


アルスル『凄いじゃないか!こんな魔法があったなんて…僕たち一般民にはまるで新鮮なものだ!』


しかしスライムの魔物はどうも役に立つようには思えなかったので、焚き火の中に自ら入るよう命令し支配を終えた。


スライム『ピギャァァァァ』ボォッ


薔薇「この技えぐくない?」


アン「アルスル、君の良いとこを見せる番だよ。」


勇者アルスルは思った。この魔法使いがいれば魔物との戦いに困難になる事は無い。しかしそれはアルスルが16年間磨いてきた戦闘術の入り用を否定する事だった。アルスル、いや人間にとってそれは認め難い事だった。


二人の前に盗賊が現れた!これは魔物ではないので使役できまい!


魔法使い『ちっ、なんだってこんなに治安が悪いんだ!』


アルスル『魔法使いさん、ここは僕に任せて!』


アン「そうだアルスル!お前の剣ならば盗賊の一人や二人、何のその──」


魔法使い『やっぱり国の方針が悪いんだろうね、こんな盗賊が道中に現れるのも!何だよ追放って!何が禁忌の術だ、今まで誰か一人でも傷つけた事があったか!国立の癖して器が小さいんだよなあ!傷つけられてるのは私だよ!王様、王様が大臣とかの周りに圧せられて──』


アルスル『あの…?』


薔薇「どうしたのこれ」


アン「……これが、物語が勝手に動き出すというやつさ」


可哀想な魔法使いが仲間になった。 続く

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