兄さん、それ神獣ですよ
茜乃雫
第1話 害獣
「ちょっと!! 兄さんっ!? 何してるんですかっ!!」
「何って、害獣駆除だろ。畑を荒らしてたからな」
「兄さん、それ神獣ですよ」
エイラの前に転がる神獣を気にもせずに畑作業に戻ろうとする兄の腕をエイラは逃がすまいと掴んだ。
「そんなことをすると……」
その時、エイラに一陣の風が吹き抜ける。
「ちょっ!? 何てことしてくれちゃってるんですかっ!!」
「いや、こいつ。害獣の親玉だろ」
「兄さん、それ神獣の親ですよ」
子を討たれた神獣の親は仇討ちに現れたが、
エイラの目の前に転がる体長1メートルほどの神獣の子。離れた場所には体長20メートルは超える神獣の親が転がっていた。
「兄さん、世界の
「畑を荒らされたら、父さんと母さんが悲しむじゃないか」
「だとしてもです!!」
「なんだ? 心配なのか? エイラは俺が守るから心配するな」
アレクスは手ぬぐいで手を綺麗に拭いてから、優しい笑みを浮かべてエイラの頭をポンポンとする。
『はぁ……兄さんのポンポン好き。気持ちいい。もう神獣とか、どうでもいいや……』
「兄さん、それ食べられますかね。みんなでバーベキューとかどうですか」
「それいいな。食べらるかどうかは母さんに見てもらおう。エイラは準備しておいてくれ」
エイラはそれを聞いて水魔法で洗浄して、神聖魔法で浄化した後に風魔法で細切れにした肉を時空魔法で鮮度を保たせ、全て亜空間収納に収めていく。
この間、
「良い天気だなー」
「そうですね。風が気持ち良いです」
害獣のことは過去のこと。もう過ぎ去ったことだ。
ここは最果てにある小さな村。
英雄の子孫や英霊となった者の子孫、神の遣いの子供や神の落とし子などが穏やかに暮らしているとても小さな村。
そんな村に吹く穏やかな風が二人を撫でていく。
「エイラがうちに来てから、もう15年か」
おかしなことを言う兄にエイラは
「もー、兄さんは何言ってるんですか。私はもう16歳ですよ。しっかりして下さい」
「エイラの歳は知ってるさ。うちに来てから15年ってことじゃないか」
「何か言い方がおかしくないですか?」
「そうか? エイラがうちに住むようになってから15年だから合ってるぞ」
「ん? 言ってる意味がよくわかりません」
「父さん、エイラが10歳になったら話すって言ってたのにな……エイラは父さんと母さんの娘じゃないぞ」
「は?」
「もちろん俺も実の兄じゃない」
「はーーっっ!?」
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兄さん、それ神獣ですよ 茜乃雫 @akane_no_shizuku
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